4月10日にようやく20000円の節目を突破した日経平均。メディアは様々な角度からこれを捉えていますが、さて、これは単なる通過点なのか、はたまた、もはや、買い上がるエネルギーは使い果たしたのでしょうか?
昨日の20000円劇は明らかにファーストリテイリングの好決算が引き上げたご祝儀相場であります。その節目を一瞬つけたのちは再び19900円台を中心に膠着しましたが、売り込む様子もなく、底堅さがあったかと思います。個人的には20000円は通過点でうねりながらももうしばらくは上昇を続け、2000年4月の高値20833円を目指すことになるかと思います。これを抜いて来れば今世紀高値となり、日本経済の復活が本当だという事になろうかと思います。
昨日、成田からバンクーバーに戻る際、空港ターミナルに足を踏み入れた瞬間あまりの人の多さに盆か正月と勘違いしたくらいです。チェックインするのに20分は待たされ、挙句の果てに予約していたエコノミーがオーバーブッキングで申し訳なさそうにビジネスへの移動を命じられました。免税エリアのお菓子売り場は菓子箱を5個、10個と抱えた中国人観光客でごった返し、商品はすっからかんであります。店長があまりの行列と商品のなさで逆に手持無沙汰なのか店の真ん中で突っ立っていたのが印象的でした。
日本経済が2000年のITバブルの株価を抜くとすれば私はアベノミクス効果ではなく、中国、東南アジア等からの訪日客の急増による国内景気の刺激、および日本企業の海外部門で稼ぐ力の効果ではないかと思います。
2003年に始まった「ビジットジャパン」キャンペーンが過去、鳴かず飛ばずだった理由は日本の物価高のイメージが強く残っていたこと、欧米向けにそのアピールをしたことが敗因でありました。ところが中国、東南アジア諸国で中間層が急増し、海外旅行に手が届くことになったことは大きいでしょう。折しも成田はLCC専用のターミナル3が今週オープンし、今後更なる外国人旅行客が押し寄せることは確実であります。個人的には今年は1500万人、2017年度には3年前倒しで目標の2000万人突破となる公算があるとみています。
その場合、外国人旅行客を受け入れる様々な施設、ホテルから観光スポット等の箱モノから人材まで圧倒的に不足するはずです。これらへの投資も当然見込まれるわけで日本経済の底支えをするでしょう。
では日本人の消費ですが、これ以上の低迷もないとみています。日本人は長い時間をかけて消費力が減退してきたとみられていますが、これは消費力があった50歳代から上の人たちからメリハリ消費をする30代の人たちにバトンタッチをする長期トレンド変化の一環であったからだと考えています。そうならば必ずどこかで底打ちし、それ以上は下がらないロックボトムが形成されるわけで私はそろそろではないかとみています。
次に日本企業の海外で稼ぐ力ですが、日本製品の海外に於ける価格と質のバランス力は圧倒していますのでオーバースペックを補正することに気がつけば日本製品が売れないはずがないと確信しています。要は前から指摘しておりますとおり、日本製品の海外市場でのマーケティング力をもっと発掘すれば更なる成長が期待できるとみています。
これらを勘案し、且つ、2015年度3月決算の数字が今後続々と発表になるにあたり、日本企業の業績予想が比較的堅め傾向は昔から変わらないこと、その中で為替の足取りは年度後半は比較的安定していたこともあり、業績の下振れリスクより上振れサプライズの方が大きいとみています。
専門家はここからは大きく買い上がれるかどうか「高所恐怖症」と言われていますが、決算数字が良ければPERから見る株価は上方修正できますから案外、今世紀最高値程度まではすっと行く気がしています。
但し、世の中いつも右上がりという事はなく、国外の材料で売られることもあります。一応「セル イン メイ(5月は売り)」の格言は頭に入れておいた方がよいかと思います。
全体のトーンとしては株価も春真っ盛りという事ではないでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 4月11日付より