今年の11月末から、パリでCOP21という会議が始まります。これは気候変動についての対策を決める国の集まる会議で、今度は世界全体で温室効果ガスをどれぐらい減らすのかという削減枠が決まる予定です。
図1
しかし気温のデコボコはかなり大きく、1940年代から70年代まではかなり下がって「氷河期が来る」ともいわれました。1998年以降のデータと見ると、2011年ごろまでは下がっており、地球がどんどん温暖化してゆくというIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予想に疑問が出てきました。
その後は上がっていますが、この調子で上がり続けるかどうかは何ともいえません。1998年は「エルニーニョ」の影響の大きかった特異な年といわれており、それを除くと10年で0.1℃近く上がる傾向があるようにも見えます。
もう一つは、その原因が温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)の影響によるものかということです。次の図2のように、地球全体のCO2の濃度は、ここ30年で15%ほど単調に上がっており、この傾向は今後も続くでしょう。
図2 地球全体のCO2濃度の変化(出所:気象庁)
この図2と、先ほどの図1を比べると、たしかにCO2濃度が上がるにつれて気温が上がっているように見えますが、本当にそういうはっきりした因果関係があるのかどうかについては専門家の論争が続いており、まだ断定的な結論は出せません。
しかし確実にいえることは、もし悲観的な予想が正しかった場合には、世界規模で大きな気候変動が起こるということです。IPCCは、このままCO2濃度が増え続けると、図3のように地球の平均気温は、2100年には今より1.5℃以上あがると予想しています。
図3
このシナリオのどれになるかはCO2濃度がどれぐらい増えるかによって変わりますが、何も削減しないでCO2が増え続けると、最大4℃ぐらい上がる可能性があります。ありそうな2℃程度の気温上昇でも、海水面は30~60cmぐらい上がると予想しています。
気温上昇を2℃以内に抑えるには、2050年までにCO2排出量を今より40~70%減らす必要があると、IPCCは計算しています。このため各国は3月までに、2030年までに温室効果ガスの削減目標を出すことになっていました。EU(ヨーロッパ連合)は1990年に比べて40%減らすという目標を出し、アメリカは2005年に比べて26~28%減らすという目標を出しました。
しかし日本は削減目標を出せませんでした。CO2を減らす上で大事な原発が動くめどが立たず、エネルギー基本計画が立たないからです。2009年に鳩山元首相が90年比で25%減らすという国際公約を出しましたが、これを実現するにはCO2を出す火力発電を大幅に減らす必要があるので、原子力の比率を50%にするエネルギー基本計画が立てられました。
ところがそのあと、2011年に原発事故が起こって民主党政権は急に「原発ゼロ」に方針を転換したため、この国際公約は実現できなくなりました。安倍政権もこの問題についてははっきりした方針を出さないため、エネルギー論議は迷走しています。
しかし6月にドイツで開かれるサミットまでには、日本も削減目標を決めないと安倍首相がサミットに行けなくなるので、そろそろ数字が出てくるでしょう。でも原発が止まったままでは、どんな目標を出しても絵に描いた餅です。