ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁が16日公表した「2013年度教会統計」によると、信者数に対する神父の割合(全神父数約41万5000人)が多いのは依然、欧州教会だ。欧州教会の信者数は全体の23%に過ぎないが、神父の約44%が欧州で従事している。逆に、南北米大陸教会には全信者のほぼ半分がいるが、神父の数は全体の30%に過ぎない。米大陸教会と似ている状況はアフリカ教会だ。全体の16%の信者がいるが、神父数は全体の10%に過ぎないのだ。信者数と神父数の割合がほぼ均衡している地域はアジア教会で、信者数で全体の11%、神父数は15%だ。
▲サン・ピエトロ広場で行われた復活祭記念礼拝(2015年4月5日、オーストリア国営放送中継から撮影)
「2013年度教会統計」で興味を引く点は助祭の数が世界的に増加していることだ。カトリック教会では助祭は妻帯が可能だ。助祭が増加するのにつれ、その職務が評価される方向にある。統計によると、05年から13年の8年間で助祭数は約29%増加した。欧州では約30%急増している。全世界で従事している助祭数は4万3000人だ。
一方、聖職者の予備軍ともいうべき神学生数はアフリカ教会を除くと世界的に減少している。神学生数は2011年までは年々増加したが、それ以降、減少傾向が見られだした。11年から13年の間で神学生数は2%減少した。地域的にみると、北米教会で5・2%、欧州教会で3・6%、減少した(例外はベルギー教会で7・5%増)。南米教会では7%減少した。アフリカ教会だけはこの期間、神学生数は1・5%増加している。
ちなみに、ローマ・カトリック教会は2005年から13年の間、全信者数は約12%増加し、その数は12億5400万人だ。世界人口のカトリック信者の占める割合は05年の17・3%から17・7%と微増した。
バチカン放送が17日報じた「教会統計」をみる限りでは、カトリック教会が世界的に聖職者不足で悩んでいることが分かる。神父数が信者数の割合より多い欧州教会でも神父がいない教区が少なくない。その一方、既婚者で従事する助祭の数が増えているという。これは何を意味するのだろうか。聖職者の独身制が聖職者不足を一層、深刻化させている、とみてほぼ間違いないだろう。
例えば、米国教会の約1000人の神父たちが先日、既婚者の聖職を容認するように同国司教会議にアピールしている。既婚者の聖職容認は聖職者の独身制改正を意味する。神父たちのアピールは聖職者不足の解決を目指すものだ。米国カトリック神父協会ボブ・ボノット会長は「司教会議から直接返答があるとは期待していないが、今後の議題として討議されることを願う」と答えている。
米国には今日、7670万人の信者がおり、約3万8300人の神父が聖職に従事している。1978年には約5000万人の信者で神父の数は5万8000人だった。同国では現在、約3500の教区で神父が不在だ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。