「へぇ、このアクセサリー可愛い。手作りなの?私も作ってみたい」。何気ないごく普通の若い女性の会話ですが、この言葉に日本に於ける個性の出し方のヒントがある気がしています。
人は自分の友人、周りの人、家族、会社の人たちなど様々接点を持ちながら情報を得、自分なりに消化し、アウトプットをしてきました。最近ではSNSという切り口も加わり、日本中、時として世界中の人たちと結ばれることになりました。その結果、新たな個性の表現の仕方が出てきたかもしれません
ユニクロや無印良品がなぜそこまで日本で流行るのか、その二つに共通するのは質の良いベーシックがその答えかもしれません。自分だけのTシャツを作る、自分だけのデコレーションを施すアイディアは世界に一つだけのアイテムを作り、SNSを通じて表現する機会を与えてくれたのではないでしょうか?
東急ハンズ。ここに行けば自分だけのアイテムを作る部材が揃います。また、こんなアイディアがあったのか、という発見や売り場に対して深い専門知識を持ったスタッフが様々なアシストをしてくれるでしょう。正に自分だけのものを作るという土壌ができてきているという事でしょう。
フェイスブックなどでアップする写真はこんなものを食べた、これ買った、珍しいものを見つけたといった人に自慢したり、へぇと言わせたり、面白いと思わせたりします。ブランド物のバッグを買ったとか、高級レストランの写真では他人の反応が気になります。
これは人々の行動にある方向性が出てきているともいえないでしょうか?
私はそれを「庶民化の中の個性」と考えています。例えば、ちょっとした高級レストランだけどお誕生日なら私もいけるという背伸びすれば届くところに意味があります。昔と変わらないともいえるのですが、SNSが与える影響は知らない人でも同年代がどう考えているのか、さっと感じ取ることができるところにポイントがあります。更にネットショッピングをすれば「これを買った人はこんなものも買っています」とくればある意味、人々を枠の中に納める同質化の一翼を担っているともいえそうです。
つまり、現代の個性とは「ぶっ飛んだ性格やアイディア」というよりみんなと普段は変わらない、だけどある面だけはとても才能がある、といったスタイルになってきているともいえます。最近のアイドルグループを見るとやけに大人数化しています。AKB、EXILEに始まった多人数グループ化はメンバーの一人ひとりの個性よりグループの個性として表現します。結果としてグループを脱退してその人が独り立ちしても売れないケースがほとんどで元AKBメンバーなどはその顕著なものなのです。
世界レベルで見るとこのスタイルが浸透するのか分かりません。なぜなら外国人そのものが元来もっと個性的で自己表現に何ら支障がなかったからです。海外のSNSでも同質化させるというより個性と個性のぶつかり合いで「あいつは面白い奴だ」「こんな奴もいる」といった第三者的スタンスをとるところに違いがある気がします。そういう意味では日本は独自の進化を遂げているともいえそうです。
個性の出し方において日本は他人との同質化の中で個性を求めるのに対して外国ではもともとが異質であって個性は他人に影響を受けにくいというのが私の海外からの個性に対する思うところです。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 4月19日付より