日米首脳会談、TPP妥結へ向け前進ー中国には牽制も --- 安田 佐和子

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オバマ米大統領と安倍首相は28日、オーバル・オフィスで首脳会談した後に共同記者会見ヘ臨んだ。ローズ・ガーデンの会見で、両首脳は環太平洋経済連携協定(TPP)締結に向けた進展に言及。オバマ米大統領は「貿易協議をめぐる政治は、両国間で難しくなるものだ」と述べつつ、「米国でたくさんの日本車を見掛けるように、日本でもアメリカ産の自動車が走っている姿を見たい」とあらためて語り、TPP締結の必要性を強調した。また「安倍首相は私と同じく締結に向け尽力しており、必ず達成できると信じる」とも付け加えた。安倍首相は「早期の妥結を望む」と発言。首脳会談でTPPをめぐる協議が「大いに前進したことは、喜ばしい」と振り返った。


質疑応答ではAPのアンドリュー・ビーティ記者が名乗りを挙げTPPへの展望を質問したほか、戦時中の慰安婦問題について安倍首相に謝罪する意志があるのか尋ねた。安倍首相は、「人身売買があった事実は非常に遺憾」と回答。従来の路線を貫いた。

車内での2人、かなりの接近戦ですね。
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(出所:Reuters)

その他、記者が集中的に質問したトピックは中国について。オバマ米大統領が共同記者会見で「安全保障、並びに人としての尊厳において世界で結束する両国」、また別の機会に「不滅の関係(indestructible)」と表現した日米関係を受け、「中国への挑発を意味しない」と発言。もっとも「日米安全保障条約は絶対的なもの」と位置づけ、仮に中国と衝突が明確化した際には日本を支持する構えをみせた。

オバマ米大統領は、中国が世界第2位の国内総生産(GDP)規模へ成長してきたことについて「米国にとっての商機」と捉え歓迎する姿勢を示した。その上で「平和的な台頭(peaceful rise)」を求め、「周辺での海域問題や(領土の)主張に関し中国との間で緊張が発生している点を過小評価すべきでない」と指摘。中国側が「通常行われる国際間での紛争解決より、武力を行使している」と批判するのも忘れなかった。中国のアジアインフラ投資銀行をめぐって、安倍首相は「米国とともに協力すべきであり中国との対話が必要」と語った。なお、共同記者会見での詳細は質問を含めこちらをご参照。

——公式的な見解は、以上のようなものでした。堅苦しい表現だけでなく年次ホワイトハウス年次記者晩餐会であれだけの茶目っ気を披露したオバマ米大統領ですから、朝の歓迎式典でこんなジョークを飛ばすのも忘れません。「今日は特に若い世代が日本からやって来た全てのことに感謝する日でもある。例えば空手とかカラオケとか・・・マンガ、アニメ、それから絵文字もね」。安倍首相との晩餐会では、一体どんな笑いを提供してくるのでしょうか?

ちなみに今夜の公式晩餐会、ホワイトハウスによるとミシェル夫人がデザインに参加した陶器いわゆる”オバマ食器”で提供される予定。テーマは”春”で、アメリカ版”料理の鉄人”で和食の鉄人と知られる森本正治氏が助っ人として腕を振るいます。ハワイの”モリモト”には、オバマ・ファミリーが必ず訪れるため白羽の矢が当たりました。

気になるメニューは、以下の通り。

前菜:トロのタルタル・シーザー刺身サラダ、水引でお祝いの色彩をプラス
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(出所:People/Instagram)

野菜コンソメのパイ包み、四海巻き、ホワイトハウス内の菜園でミシェル夫人が育てた食材を使用
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(出所:People/Saul Loeb/AFP/Getty Image)

メイン:アメリカ産のWAGYUステーキ、カリフォルニアのシャルドネ”涼風”(2013年物)とともに

デザート:豆腐と豆乳を使ったチーズケーキ

——書いているだけで、ヨダレが出てきてしまうような逸品がそろいます。晩餐ではシャルドネをご堪能の予定ですが、乾杯にフィーチャーされるのは、安倍首相の地元である山口県の名酒”獺祭”。そう、2014年4月にオバマ米大統領が訪日した際に安倍首相からのプレゼントでした2人にとって思い出の品です。”獺祭”はもう10年近く前からニューヨークで積極的に市場展開を試みており、こちらでもすっかり日本酒の代名詞として浸透中。フルーティーながら辛口の味わいで、会話の一段とスムーズにさせること間違いナシでしょう。

(カバー写真:Andrew Harnik/Associated Press )


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年4月28日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。