サラリーマン経営の意思決定は、オーナー経営より遅い --- 内藤 忍

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金融資産と実物資産の大きな違いは「歪み」の修正にかかる時間です。東京で1ドル=120円なのに、ロンドンでは1ドル=100円といった歪みは、金融市場ではあり得ませんが、実物不動産では当たり前のように起こります。


新興国の不動産マーケットでは、マレーシアやタイなどで日本の大手デベロッパーが現地資本と組んで大規模な開発を始めています。一方で、カンボジアやフィリピンといった、新興国でもまだ開発途上の国には日本のデベロッパーは進出していません。

例えば、カンボジアに進出している日本企業と言えば、イオンのような大手を別にすれば、東横イン、タマホーム、マルハン、といったオーナー系の意思決定が早い企業ばかりです。三菱、三井、住友といったサラリーマン系の会社では、社内稟議や部門間の調整に時間がかかり、スピード感のある経営判断が出来ないのです。そこに「歪み」が発生するのです。

日本国内でも同じようなことが起こっています。表は、4月29日の日本経済新聞朝刊に出ていた、大手不動産会社のこれからの都心の賃貸不動産開発の概要一覧です。大手の不動産会社がようやく、都心の単身者向けの賃貸物件に力を入れるという記事が出ていました。

三菱地所グループは今年度からマンション用地の取得ペースを従来の3倍に引き上げる。新日鉄興和不動産は単身者向けマンション事業に本格参入し、今後3年間で約15棟を着工する。東京都心を中心に物件を積極供給し、都心への流入が続く単身世帯の需要を取り込む。
(日本経済新聞より)

と記事には書かれています。

20平方メートル以上のワンルームの市場にいよいよ大手企業も本格的に参入してくるということで、市場はさらに活性化することが予想されます。用地の取得が本格化すれば、東京都心の地価にも上昇圧力がかかっていくことでしょう。

しかし、このような大手の動きが現実化するまでには、まだ時間があります。新築のこのような高級な物件を待つよりも、今のうちに中古で利回りが良く、立地も良い物件を早めに手当てしておく方が、歪みを享受できるという点で、理にかなっているように思えます。

と、人に言っているだけではなく、自分も具体的なアクションをすることにしました。来月2つ目の都心の投資物件の購入を予定して、準備を始めました。

実物資産には、少し調べれば誰にでも見える歪みがあちこちに存在します。リスクゼロとは言いませんが、リスクテイクする価値のある投資機会を見つけたら、後は投資するかしないかのアクションの問題なのです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。