休日はまだ一日残っていますが、昨日の夜に長崎から東京に戻りました。3泊4日の大家族での旅行。ハードなスケジュールでしたが、楽しく思い出深いものになりました。
長崎市内を2日間観光してから、佐世保の温泉に泊まり、最終日は朝からテニスしてから、長崎バイオパークに出かけました。動物と触れ合える何とも癒される場所で、甥と姪のために行ったのに、大人も意外に楽しんでいました。その後夕方に向かったのが、遠藤周作氏の「沈黙」の舞台になったと言われる黒崎教会です(写真)。夕陽がステンドグラスに差しこんで、幻想的な雰囲気を醸し出していました。
ちなみに、私はクリスチャンではありませんから、キリスト教への信仰はありません。
しかし、江戸から明治にかけて、この地で日本人だけで密かに信仰を250年以上守り通し、1865年に「信徒発見」と呼ばれる事件が起きるまで、政府の弾圧に耐えてきた信者の人たちの心のありようを想像すると、その強い意志に圧倒されます。
誰もが、自分の人生を自分自身が納得できる充実したものにしたいと思っています。それは、現代に生きる我々も、江戸時代の長崎の農民の人たちも同じはずです。厳しい生活環境の中、弾圧やいわれなき差別を受けるような海外からの宗教に、なぜそこまでコミットし、代々そのコミットメントを継続することができたのか。
それが、単なる苦行であれば、途中で挫折していたに違いありません。苦しみの向こうに何かを見ていたからこそ、250年もの間、長崎の山村部で、幕府の目を逃れながら進行を続けることができたのだと想像します。
そんな当時よりも、圧倒的に豊かで自由を謳歌している現在の日本人。にも関わらず、当時の隠れキリシタンの人々と比べ、人生に対して充実を感じ、納得できているでしょうか。私自身も、そんなことを教会の中で自問していました。
人生を豊かに生きるということは、単に物質的な豊かさだけでは実現できません。そこに精神的な豊かさが無いと完全なる充実感を得ることはできないのです。隠れキリシタンの人たちは物質的には当時の平均的日本人よりもさらに貧しかったかもしれません。しかしその心には、極めて豊かな気持ちが溢れていたはずです。
短い観光での滞在でしたが、人生の「本当の豊かさ」とは何か。そしてそれを手に入れるために、何をしなければならないのか。大きな問題提起をされた気分になりました。
長崎での楽しくも奥深い日々が終わり、また今日から東京での生活に戻ります。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。