GW空けということもあり軽い記事です。
先日結婚式をしたのですが、その際に記念ということで3Dプリンターを使って遺影代わりに亡き祖父のフィギュアを作ってみました。
ざっくりとした経緯は「しらべぇ」さんに記事にしていただいたのですが、写真一枚から上記のフィギュアまで起こしていただきまして、なかなか感動しました。それぞれの祖父には家と職場で見守っていただいております。
記事で伏せられている値段なのですがだいたい一体あたり税込み6万円というところでまだまだ高い水準です。ただ今後値段が下がっていくことは間違いないので、これがだいたい半額~1/3程度になったらちょっと高めのスタジオで写真を撮るのと同じ程度になるわけでして、記念写真ならぬ記念フィギュアというものがかなり浸透してくるのではないかと思っております。
この辺みずほ銀行さんが旨くまとめているのですが、3Dプリンターの主要市場は大量生産市場ではなく一品もの市場とされているので、まさに今回のような事例はそれに当てはまるような例だと思います。個人的にはアートや冠婚葬祭市場のうち「葬」の市場何かに大きな影響を与えるような気がしておりまして、日本には墓が足りなくなってくる中で自然葬が徐々に普及している流れも有り、自然葬で記念にフィギュアを作るなどということも広まってくるんじゃないだろうか夢想しております。
なおお願いしたのは大阪のロイスエンタテイメントさんという会社でして、写真一枚からのフィギュア作成を短い納期で唯一引き受けてくれた会社でした。
この辺大変面白いのですが
「他の会社では『複数の写真が必要』と言われたが、なぜ御社では一枚からできるのか?3Dプリンター独自の技術的な先進性があるのか?」
ということを聞いたところ、
「いや3Dプリンター自体の技術は変わらないんですが、単純にデザインとクリエイターで良い人材を抑えているので柔軟に対応できるんです」
といわれ、「ああ差別化というのは最終的には人に帰着するのだな~」と妙に納得したところです。
もちろん3Dプリンターによるイノベーションの本流は金型・鋳型産業と目されているところで「3Dプリンターの発展は日本の金型産業の危機」などと言われることもあるのですが、これもよくある議論で「新しい技術はそれによって失われる雇用よりも、その技術を発展・維持するためにそれ以上の新たな雇用を生む」というのもまた本当なのだろうと実感したところです。
そんなわけであまり遠くからイノベーションを考えるよりも身の回りから物事の変化を感じ取る大切さを感じた次第です。みなさんも気が向いたらフィギュア遺影作ってみてください。
ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「宇佐美典也のブログ」2015年5月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のブログをご覧ください。