ユニクロが好調です。4月は気温が高かったために夏物が売れ、既存店売上高が前年比19.3%増でした。いかにも景気のいい話です。瞬間風速だけでなく、この1年の推移を見ても前年を割り込んだのは、昨年の7月と今年の3月だけで、あとは前年をクリアしています。
ユニクロに関しては、そんな売上好調の話よりも、注目したいニュースがありました。無線ICタグの導入です。日経によると、すでにファーストリテーリングの「ジーユー」4店で試験を始めており、16年初めにはユニクロの全店舗に導入されるというのです。
ファストリ、無人レジ精算 瞬時に 全品にICタグ まず「ジーユー」全300店で:日本経済新聞
店舗のインテリジェント化が一挙に進みます。買い物カゴをレジに置くだけでなかに入っている商品の合計額が瞬時にわかり、すばやく精算できます。セルフでの精算も可能でしょうし、レジ待ちの緩和にも効果的で、またレジ対応の人員も減らせ効率化できるだけでなく、棚卸や在庫確認も効率化されます。もちろんそれ以外にも情報化によって、消費者の購買行動をより的確に捉えたり、商品プレゼンテーションの新たな方法も可能になってくるのでしょう。
そういった店舗での見える効率化だけでなく、調達、物流のインテリジェント化にもつながり、全体としてさらに生産性がアップしていくことになります。「価値」競争の時代は、背景には生産性の競争が起こってくるので、ユニクロは一歩リードすることになってきそうです。
調達や物流のインテリジェント化という点では、大和ハウスとユニクロが共同出資で来年1月から、ネット注文を受ければ都内なら当日中に配達できる物流倉庫を稼働させ、順次全国に広げていくとのニュースがあったことが思い浮かびます。自動ピッキングとか、配送のトレースなどで、こちらとも関係してくるはずです。ネット販売比率を上げることも生産性アップにつながってきます。
ユニクロ、大和ハウスと物流会社設立 即日配達も可能に:朝日新聞デジタル
こういった仕掛けは一見は地味ですが、競争の決定的な地力を高めることになり、今後の重要な成長戦略となってきます。さらに、コンビニエンスストアという業態が情報化と結びついて日本でイノベーションが起こったように、日本発の新たな小売業イノベーションとなってきそうな気配を感じます。