インドの研究開発環境の問題点とは

今週の科学雑誌『nature』は、「インド特集」になっている。インドの科学についての歴史は古い。紀元前3000年のころから10進法を使った計量法や基礎的な数学が発達していた。アラビア数字の起源がインドにあり、数字の「0(ゼロ)」が、AD数世紀までのインドで「発見」された、という逸話は有名だし、夭逝した「インドの魔術師」シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、インドが生んだ天才的な数学者だった。また、光の波長の散乱現象「ラマン効果」を発見してアジア人初のノーベル賞受賞者となったチャンドラセカール・ラマン、遺伝子に含まれる「暗号」の発見でノーベル生理・医学賞を受賞したハー・ゴビンド・コラナなど、世界で活躍する多くの科学者を排出してきたことでもインドは注目を集める。

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とはいえ、その人口に比べ、科学者の数は少なく、まともな大学教育を受けられる人は依然として少ない。「頭脳大国」と呼ばれているわりに、国内の研究開発環境は驚くほど貧しいのが現実だ。『nature』にはこうしたインドの可能性と問題点が紹介されている。たとえば、硬直して古くさいままの官僚制度は、科学立国へ脱皮することをかなり阻害しているらしい。こうしたお役所的形式主義は、英国で公文書を赤いテープで縛っていたことから「red tape」と表現されている。この「Indian bioscience: The anti-bureaucrat」という記事では、政府からの研究補助金を獲得するためにどれだけ多くの労苦が必要かが述べられ、また「India: The fight to become a science superpower」という記事では、大当たりしたバイオテクノロジーにしても品質管理にかなり問題がある、と指摘している。

2014年9月にはインドのナレンドラ・モディ首相が来日し、安倍首相と特に経済や防衛で一層の緊密な関係を強化を目指すことを確認した。これは対中国の戦略もあるだろうが、企業進出や市場として日本がインドに大きな魅力を感じているからにほかならない。日本からインドへの輸出額は2003年に逆転し、その後はずっとインドからの輸出を上回っている。インドの市場は確実に成長しつつあるのだろう。研究開発の分野でもエネルギー関連や医薬分野、メタンハイドレート調査などで強く結びつきつつある。インドから日本への留学生の招致も活発だ。ただ『nature』で指摘されているような問題点も多い。今後も同国へのより深い理解が必要だろう。

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SCIENCE IN INDIA


Bailey Noble and Emily Mest Feature in Tarina Tarantino’s New Fashion Film
WWD
米国ロサンゼルス発、ハリウッドのセレブリティにも人気のブランド「タリナタランティーノ(TARINA TARANTINO)」が、新たな宣伝動画を作った、という記事だ。ロサンゼルスの古びたビルの上で二人の女性が絡む。出演は女優のベイリー・ノーブル(Bailey Noble)とエミリー・メスト(Emily Mest)。前者はテレビドラマなどへ出演しているらしい。後者の女優の詳細は不明。このブランド、ゴージャスだがフェイクっぽいアクセが特徴とか。動画にはそういうアクセが出てくる。ちなみに映画監督のクエンティン・タランティーノとは無関係のようだ。

Manny Pacquiao: Retirement decision on hold after surgery
BBC NEWS
先日、フロイド・メイウェザーと鳴り物入りで試合し、大差の判定で負けたマニー・パッキャオだが、試合前から肩を負傷し、その影響で負けた、と往生際の悪さが話題になっている。メイウェザーは、当初、パッキャオとの再戦の可能性を臭わせていたが、この態度に気を悪くしたのか、その後に撤回し、計画通り9月の試合で引退する、と発表した。この記事によれば、パッキャオも肩の傷の治療後にどうするか決めかねているらしい。現役を続行するのか、それともフィリピンの政治家として大統領を目指すのか、注目を集めている。

使われていない「埋蔵携帯」の総額価値は1兆6489億円──ゲオが試算
ITmedia Mobile
機種変更後、使わなくなった携帯機器はどうなっているんだろうか。当方などは別名ジャンク箱と呼ばれるプラケースに、SCSIのハードディスクなどに混じってたくさん入っている。日本中にあるこれらの「埋蔵携帯電話」を集めた価値はどれくらいか調べてみた、という記事だ。これはレアメタルなどの価値ではなく、中古の買い取り価格。調査した本体が買い取り屋なので、どこまで本当か首を傾げる人も多そうだ。

Sea-level rise accelerating, say scientists
PHYS.ORG
極地の氷が溶ける速度が早まっているせいか、海面上昇が加速し続けているらしい。1901年から2010年まで年間平均で1.7mm上昇しているが、1993年から2010年の間には年間3.2mmまでその速度が上がっている。この速度を年間0.9mmから1.5mmにまで下げなければ、近い将来、確実に世界の沿岸地域は水没する。ただ、この原因が二酸化炭素排出による温暖化のせいか、それとも氷河期が終わって地球全体が暖かくなっている過程のことなのかは議論の分かれるところだろう。いずれにせよ、極地の氷は溶け続け、それが地球の海洋のレベルを上げているのは確かだ。


アゴラ編集部