「もうすこしがんばりましょう」日本の報道メディア

あいかわらずテレビのない生活をしているので、「古賀茂明氏の被害妄想が世界に拡散する」という池田さんの記事を読みながら、一連の「報道ステーション」騒動の収束ぶりを推察していたのですが、今日になって突然YouTubeで古賀氏に再会しました。


14:00マークのあたりから、日本の報道事情にスポットライトを当てたコーナーで登場し、通訳を通して「日本のマスコミを脅迫する日本政府の危険性」を鋭意語っておられます。

このアルジャジーラ英語版のプログラムは「政治権力と市民権」といった大まかなテーマのくくりで世界各地の「ホットトピック」を俯瞰・網羅しています。メインのトピックはアメリカで6月より一部が失効する「パトリオット法」の下における政府によるサイバースペース監視と市民プライヴァシー侵害の実態といったところでしょうか。

日本を扱ったコーナーでは、特定秘密保護法の施行のあとも日本の安倍政権はマスメディアへの圧力を強めているという論調でレポートを構築しているのですが、どうも空振りの観が否めません。

番組中、古賀氏自身が言うところは、文面はナイスで無害な通告が政府当局からくると、報道メディアはなぜか萎縮して自主規制してしまう...記者クラブというメディア自体が創設した自治団体もこの自主規制の装置として働いている...というもの。ようするに全てオウンゴールで負けてるサッカーチームみたいな話になっています。

この古賀氏の証言内容では、どうしても「政治権力vs報道の自由」という構図にもっていきたいアルジャジーラ側番組制作者の意図と全く噛み合っていません。我々日本人のように予備知識がない視聴者にしてみたら「なんで日本の報道メディアはそんなに根性なしなのか」という結論にしか達しないでしょう。予備知識があっても結論は同じかもしれませんが。

番組中、この日本のセグメントは、麻薬の密売グループの真実を報道して拷問・惨殺されたブラジル人記者たちを紹介した悲惨なレポートの次に来ているのですが、あまりの温度差に赤面してしまいます。

日本の報道メディアとしては、外国メディアが勝手に日本政府を悪役に仕立てあげた結果用意された「被害者」としての地位に安穏とせず、「我々は政治権力に屈することなくしっかり報道しています」と、自分たちのプライドを守るためにも反論するか、もしくは示唆された政府圧力の実態を徹底的に検証するか、いずれかの選択をすべきでしょう。

事なかれ主義で無責任なマスコミとダメな政治は、同じコインの「うら・おもて」ですから。