「ゲテモノ」を食べる好奇心とは

深海魚というのは総じてグロテスクだが、伊豆半島の西岸ではけっこう深海魚を食べる。静岡県に太平洋が食い込んでいる駿河湾は、内湾のくせに水深が深く最深部で2500mにもなる。そのため、ラブカやタカアシガニ、ゴソ(ヒウチダイ)などの深海魚がよくあがる。深海魚博物館もある沼津市戸田には、深海魚専門の料理店もあるようだが、ゴソのにぎり寿司や干物はけっこう美味い。


こうした深海魚の一種に「リュウグウノツカイ」という魚類がある。大きいものでは10mを超えるが、細長くて顔が人間くさい。世界中に分布する魚で、その姿形から西洋でも巨大生物伝説として扱われ、日本でも人魚伝説のネタになっている。泳ぎはあまり得意ではないようで、深海に漂うようにして棲息しているようだ。深海魚の例に漏れず、肉質は柔らかく頼りない感じらしい。「神戸新聞」の記事によれば「臭みなどの癖はなく、鶏卵の白身のような食感」だとか。ちなみに、このリュウグウノツカイが漂着した兵庫県豊岡市竹野町は深海魚ではなく松葉ガニで有名。冬季の民宿には全国からカニ好きが押し寄せる。

神奈川県の水産技術センターによる表題の記事では、アメフラシを食べたり、リュウグウノツカイを食べたりしている。神戸新聞の記事とは対照的に「ブニョブニョとして、特に味もなく、誰も二口目に手が伸び」なかったそうだ。ゲテモノは概して美味いらしい。しかし、写真を見るとリュウグウノツカイの塩焼きは、なかなか香ばしそうな感じ。食べ物の味はもちろん、人間の味覚と好奇心も千差万別だ。

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当方が伊豆の旅館で食べたゴソの干物。顔つきがやはり深海魚。クセのない柔らかい白身で珍味の一種だ。

神奈川県水産技術センター メルマガ474
海のゲテモノたち


US teen linked to bizarre ‘swatting’ bomb hoax cyber gang
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
英国で2014年に大規模なハッカー団が検挙されたが、彼らの自称は「ISISGang」だった。彼らへの対応コストは総額1億円になるらしい。この記事では、米国のティーンエイジャーもサイバーデマに毒されていて、カリフォルニア州の高校でも「爆弾を仕掛けた」という脅迫電話でSWATチームが出動する騒ぎになった、と報じている。この事件では、オンラインゲームの仲間の間の冗談で発端でデマを流すことが行われたようだ。この手の愉快犯がいるのは日本の場合も同じだが、最近でも都下の高校に「爆弾を仕掛ける」とTwitterで脅迫した17歳の男子高校生や同じような内容の脅迫電話をかけた54歳の女が逮捕されたりしている。一方、この高校では、脅迫事件と同じ週に女子生徒の自殺未遂も起きたらしい。いったい何が背景なのか、こちらのほうも少し不気味だ。

Protecting isolated tribes
Science
多様な遺伝的特質を持った集団が交雑し、また家畜を含む自然界から病原菌などの異物に接触することなどで、人間の体内には様々な抗体ができる。もちろん、この過程では外界からの脅威に抵抗できず、死んでしまった個体もいるだろうが、とりわけ中世以降のヨーロッパ世界の人間には多種多様な病原菌に対する耐性ができた。彼ら自身も日和見菌を含む病原菌を体内に収め身にまとい、大航海時代に世界中へ拡散する。その結果、新大陸の人間に耐性のない病気が蔓延し、多くの部族が絶滅した。征服者による侵略や虐殺より、病原菌による死者のほうがずっと多い。この記事で紹介されている研究者は、いまだに近代社会と隔絶した環境にいる南米の先住民部族をどう「保護」するか、考えているようだ。こうした部族をなぜ保護し、彼らの生活や文化を守らなければならないのか、という疑問はあるだろう。しかし、人類の遺伝的な多様性を担保する上でも多様な文化保全の意味でも、積極的に隔絶生活をおくっている人々の意志を尊重することには大きな意味がある。彼らを「保護」するための一つの方法は「放置」する、というもの。しかし、前述したような理由で病気に倒れ、いずれはいなくなってしまうだろう。一方、医学的にコントロールされたチームが、つかず離れずで「見守る」という方法もある。こうした方法では、隔絶された部族が偶発的に近代社会の人間と接触し、うっかり病気をうつされてしまう、ということも「監視」することができるそうだ。

IATA、機内手荷物の新サイズ提唱 乗客全員分の収納目指す
Aviation Wire
機内への持ち込み手荷物のサイズは、上客にとっても航空会社にとっても保安上でもけっこう悩ましい。国際航空運送協会(IATA)は、各社でまちまちなサイズの調整に乗り出すようだ。しかし、この記事によれば、提案で示されたサイズは日本の航空2社の規準よりも少し小さくなるらしい。IATAの提案は強制ではないが、認定された新サイズ適用手荷物は優先的に機内へ持ち込むことにもなりそうだ。何やらIATA認定団体と旅行カバンメーカーだけが儲かりそうな話にも聞こえるが、FIFAの件もあり利権の存在が疑われるこうした国際的な団体の施策には要注意かもしれない。

Yes, the U.S. Military Uses Social Media to Target ISIS
SLATE
いわゆるイスラム国(IS)が、インターネットのSNSなどを活用して各国の若者をリクルートしているのは有名な話だが、この記事では米国空軍幹部の証言として、米軍がISのアカウントを特定し、監視体制を強化し、逆に利用していることを紹介している。すでに先方もこれを察知し、ネット接続の際は頻繁にアカウントを変えたり居場所がわからないようにしたりしているようだ。しかし、彼らとて人間。家族もいれば友人もいる。こうした周辺のデータを分析し、追い詰めることも可能らしい。武力によるISの撲滅はなかなか難しいようだが、インターネットでの攻撃はわりと有効、と記事は書いている。


アゴラ編集部:石田 雅彦