ギリシャ・中国という干天の慈雨

「ギリシャ債務危機と中国株バブル崩壊」と報じられる材料でマーケットが下落し、大損された投資家様も居られる中こうした話をするのも憚る部分がありますが、私共SBIは連日の大商いで儲けさせて頂いています。昨日で言うと、東証1部の売買代金は3兆8409億円となり、今年2番目の水準となりました。出来高も37億1187万株となり、今年最高でした。


このように株式も為替もボラティリティ(上下の変動)が非常に高く出来高が多い相場になっている状況では、私共のSBI 証券にしろSBI FXトレードにしろ、あれだけ手数料を低くし、あれだけスプレッドを狭くしているにも拘らず、御蔭様で儲けさせて頂いています。

こうした相場状況では、ボラティリティの高まりによって出来高さえあれば十分に収益は出てきます。証券業とはそういうものです。だから私は、インターネットベースの金融生態系を構築して行くに、日本国内においては証券業からスタートしたのです。99年10月に開始したオンライン取引は、その一期目(5ヶ月)で通期黒字を達成したわけですが、出来高さえあれば非常に早く収益化できるのがフローのビジネスの特色です。

御承知の通りギリシャ債務危機に関しては、此の12日の首脳会議でEU側が改革案を受け入れるかが焦点となります。「世界の国内総生産(GDP)の1%、欧州の2%程度」というギリシャの経済規模から言ってみても、仮にユーロ離脱となったとして一時的には多少混乱が生じましょうが、総じてその影響は軽微だと見ています。

寧ろ私が憂慮しているのは、此の1年半で時価総額合計が2倍以上になった後に市場が6月半ばにピークをつけて以来それが3割失われ、3兆2000億ドルが吹き飛んだ中国の方です。此の3.2兆ドルとは「フランスとスペインの株式市場を合計した時価総額を優に上回る金額」ですが、金がダブついているなか行き場を失った金は今回の下落局面を経、どこかの時点でまた市場に戻ってくると見ています。

相場格言の一つに「人の行く裏に道あり、花の山」というのがあるように、大体「山高ければ谷深し、谷深ければ山高し」で相場は動いて行くものです。また「強気相場は悲観の中に生まれ懐疑の中で育ち楽観の中で成熟し幸福感の中で消えていく」という有名な格言もありますが、要するに相場というものは必ず上がり下がりを繰り返して行くのです。

何れにしても私は、ギリシャ債務危機と中国株バブル崩壊と報じられる事柄につき共にそれ程深刻には捉えていません。寧ろそうした情勢下でのボラティリティの高まり、及び出来高の増加が我々のビジネスに極めてプラスになっている現況は、本当に有り難いと思っています。

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