イエレンFRB議長、10月の利上げ開始余地を残す --- 安田 佐和子

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イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は15日、米下院金融委員会にて旧ハンフリー・ホーキンス証言を行いました。開始前に配布された8ページにわたる原稿は、10日の講演に沿った内容。 1)年内利上げ、2)重要なポイントは利上げ開始時期ではなく、そのペース、3)利上げ開始、利上げペースは経済指標次第でありサプライズ要因で加速・減速もありうる——の3点を強調しています。

労働市場をめぐっては長期失業率が「目に見えて」低下したと明るい兆候を認めたほか、10日に続き「最大限の雇用に近づいている」と発言しています。労働参加率などは、引き続き失望を誘うとの見方をにじませました。インフレは、短期的に2%割れを維持するとの予想をキープ。原油安やドル高の効果がはく落を受け目標値である2%へ向かって行くと、いつも通りのフレーズを施しています。

経済不確実性リスクとして、海外動向にさらりと触れる程度。ギリシャに対して「状況は、困難であり続ける」と述べています。10日に言及しなかった中国は「高水準の債務、弱い不動産市場、変動しやすい金融環境などといった困難に取り組み続けている」との見方を示しました。

JPモルガンのマイケル・フェローリ主席エコノミストは、イエレンFRB議長が質疑応答で「記者会見を予定しないFOMCでの第1弾利上げにためらいを見せかったほか、必要とあれば緊急の会見実施も辞さない態度を示した」点に関心を寄せていました。思い起こせば、こんなニュースもあり、もしかしたらイエレンFRB議長の記者会見を予定しない10月利上げもありうる?

議会証言に合わせて公表された金融政策レポートでは、もちろん金融市場への考察が盛り込まれています。レポートによると、株式市場についてリスク・プレミアムが「格段に縮小し、過去の標準値に近づいている」と表現する程度に。イエレンFRB議長は2014年7月の議会証言でソーシャルメディアやバイオテクノロジー株、今年5月には米株相場への割高感に警鐘を鳴らしたものの、今回はトーンダウンしています。そのほか「商業不動産のバリュエーション圧力は価格上昇とともに急速に高まり続けている」との認識を挟み込んだほか、ジャンク債市場を中心に利回り追求の姿勢が強まっていると懸念も示していました。

(カバー写真:Reuters


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年7月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。