「鶴」より「カラス」を選んだ柳本氏の大阪市長選出馬

日頃の主義主張をあっさり捨て、「既得権」と言う「残飯」に群がった自民党から共産党までの野合集団を応援した、藤井総、竹本直一、辻元清美等々の諸先生方は、「掃き溜め」にたむろする薄汚い野良猫やカラスが顔負けするくらい悪臭を放つ雰囲気に良く溶け込んでいた。

それに比べ、都構想の賛否を巡って橋下氏と渡り合った自民党大阪市議団の柳本顕幹事長は、その理性的で物静かな応答で「掃き溜めに鶴」の様な新鮮な印象を与え、既得権集団に転落した現在の自民党大阪市議団とは場違いな印象であった。

特に、「暴対法」の対象者と見違える様な下品で恫喝的な言葉をくり返す藤井総センセーとは天と地ほど異なる清潔感が漂っていた。

その柳本氏が自民党から大阪市長選挙に立候補すると聞いて、なせ「鶴」の清潔さを捨ててまで、薄汚い「カラス」のお仲間入りをしたいのか理解できなかった。

思い起こすと、自民党公認の最後の市長であった 關淳一第17代大阪市長の時代までは、自民党も大阪市民の為の改革を真剣に考えていた時代もあった。

関元市長が、任期中に取り組んだ主な改革施策をウイキペデイアで検索すると、
(1)市政改革本部を中心にして内外の協力体制を組み、行財政改革を推進 する目的で、各局・各区に改革の内容を示したマニフェストを作成させた。
(2)大阪市交通局の経営形態について、完全民営化も視野に入れた検討を指示。
(3)情報公開の推進・コンプライアンス遵守のための制度整備。
(4)職員新規採用の凍結。
(5)府市連携協議会」を通じて、大阪府と二重行政の解消をめざして協議を行う。
等があるが、これ等の政策は驚く程「都構想」に似ている。

そして、2007年の大阪市長選挙に3選を目指して自民党へ推薦を要請した関氏に待っていたものは、市営地下鉄の民営化方針などの市政改革に反発した一部市議や市の官僚OBの激しい抵抗であった。

その結果、分裂した自民党の関氏は組合を先頭とする反改革勢力を纏めた民主党・国民新党が推薦する平松邦夫氏に敗れ去った。

この様に、現在の自民党は本来の健全保守の自民党ではなく、利権の為には野合も厭わない腐った残党の集合体なのである。

柳本氏は橋下氏との討論では、都構想の目指す改革そのものには反対せず、「今の体制でも改革は出来る」と言う方法論中心の議論を展開したが、大阪が必要とした重要改革は勿論、2004年以降に關淳一元大阪市長が外部有識者の助言を得て取り組んだ市政改革案の全てを頓挫させた平松市政を応援して来た勢力と手を組む限り、「改革は現体制でも十分できる」と言う柳本氏の主張には無理がある。

地盤低下の続く大阪を救う気持ちが柳本氏に残っているのであれば、大阪市長選立候補は「掃き溜めのカラス」の様な自民党や民主党とは縁を切り、自民党の良心派を引き連れて維新の会に合流してからにして欲しい。

柳本氏が改革派である限り、過去の経緯より政策を重視する維新の会が柳本氏を歓迎する事は間違いない。

そしてこれは、大阪市民も期待していることである。

2015年8月25日
北村 隆司