糖尿病には1型と2型があるが、主に生活習慣と遺伝的な要素から発病するのが2型だ。肥満して運動不足になり、インスリンが出にくくなったり機能が低下したりする。一方、1型は膵臓のβ細胞が壊れるために発病する。糖尿病はある日突然、合併症が発病するなどする怖い病気だ。合併症には、失明の危険性もある網膜症や人工透析が必要となる腎症、血管がぼろぼろになる血管障害、足などを切断しなければならなくなる壊疽などがある。
2型の場合、遺伝的な特質に食事や運動などの生活習慣が加わってゆっくりと進行するので、遺伝子は変えられないものの、食事療法をしたり適度な有酸素運動をするなど、生活習慣を変えることで病気の進行を止めることが可能だ。2型糖尿病の初期では、投薬などをせず、これらの治療を行う。血糖値をコントロールする薬を飲むと、上限値を下げると下限値も下がってしまい、極端な低血糖になるなどのリスクがある。薬物療法になる前に、食事改善や運動などをして治療することが重要だ。
このように2型糖尿病の治療は、食事療法、運動、薬物投与が主なものとなるが、表題の記事では外科的な手術によって糖尿病を治療する方法が紹介されている。手術には二つあり、一つは胃バイパス手術による方法。もう一つは、胆膵路転換手術(Biliopancreatic Diversion、BPD)と呼ばれている方法だ。どちらも胃の一部を切除し、食べ物の吸収を抑える。糖尿病だけがターゲットではなく、病的な肥満を治療することが目的になる。表題の記事は、2012年3月に「New England Journal of Medicine」に掲載された「Bariatric Surgery versus Conventional Medical Therapy for Type 2 Diabetes」の続報といったところ。ただ、胃など健常な臓器を手術で切除してしまうことに対しては当然、強い批判がある。
EurekAlert!
Surgery achieves better long-term control of type 2 diabetes than standard therapy
「太陽活動の低下」で進む氷床の溶解 極地研研元特任助教らがメカニズムを解明
官庁通信「今日の話題」
単純に考えれば、太陽活動が低下すれば、地球温度が下がって寒冷化するのでは、となるが、この記事で紹介されている研究によれば、太陽活動が低下すると、とりわけグリーンランドあたりの気温が上昇するらしい。その結果、大西洋の極地周辺の氷床が溶ける。このメカニズムは、単に太陽活動が地球にタイムラグをもって影響することにあるらしい。夏至と真夏、冬至と厳冬の間に2カ月ほどのズレがあるのと同じだ。太陽活動は周期性を持つので、活発な時期の影響が低下する期間に出てきたりして、一見するとパラドックスのようになる。
ホンダ、2輪の特徴を備えた4輪車「Honda Project 2&4 powered by RC213V」
えん乗り
これはなかなかHONDAらしい久しぶりの乗り物だ。HONDAは二輪を制した後、いきなりF1から4輪のレースへ参戦した。1965年のF1シリーズ、最終戦のメキシコGPでリッチー・ギンザーがハンドルを握るHONDA・RA272が初優勝。葉巻型のボディにむき出しのタイヤ、ボンネット上には日の丸が描かれた白いマシンだ。この記事で紹介されている一人乗り四輪カーは、このRA272をモデルにしたサイドカーのようなデザイン。ケータハムロータスセブンに取って代わるか、乗ってみたい。
東大発の人工衛星スタートアップ、アクセルスペースがシリーズAラウンドで約18億円を調達
THEBRIDGE
大学発ベンチャーとして有名な企業は多いが、たとえばロボットスーツ「HAL」のサイバーダインは上場時にストップ高になり、数百億円規模の資金調達を実現させた。同社のCEO山海嘉之氏の圧倒的な指導力は賛否あるが、しばらく赤字が続くものの今後は収支決算が改善するかもしれない。今の日本でチャレンジングな技術に多額の投資がつくのは難しいが、この記事では東大発ベンチャー「AXELSPACE」について紹介している。同社のビジネスモデルは、超小型の静止衛星を多数打ち上げることだが、今回、出資者を募って研究開発資金を調達したらしい。投資側にとって儲かりそうなビジネスなのだろう。
Elton John’s Special Relationship With Russia
The Atlantic
ウクライナとクリミア半島をめぐる政策で、ロシアはかなり窮地に陥っている。欧米による経済制裁の効果もじわじわと効き始め、原油安もボディブローになっているようだ。ただ、天然ガスなどEUがロシアにエネルギーを依存しているのは間違いなく、最近、エジプト沖の地中海で大規模な天然ガス田が発見された、と報じられたが、それが本当としても採算軌道にのるまでには時間がかかる。この記事では、英国のナイトの称号を持つミュージシャン、エルトン・ジョンが、窮地に立つロシアのプーチン大統領に手をさしのべた、と書いている。エルトン・ジョンと言えばゲイとしても有名で、ロシアの同性愛者のために行動しているのでは、と考えられているようだ。
アゴラ編集部:石田 雅彦