安保よりも金融

日本は安保一色のようだが、世界は意外に日本に注目している。

明日からのMilken Instituteのサミットでシンガポールに来ているが、シンガポールで見るbloomberg TV NYは、日本の話ばかりしている。みな日本に期待しているようだ。だから、国債の格下げも話題になる。なぜ、そんなに期待しているのか。

それは、まさに、米国FEDが金融政策の正常化、金利の引き上げを明日するかもしれない、ということが、あまりに大きな関心を集めているからだ。

FEDの緩和に頼れなくなり、中国もやばい、となれば、日本の量的緩和に頼るしかない、ということだ。

そのときに、格下げが起きる、ということは、アベノミクスしか頼るものがなくなった投資家達は、すべてを失うのか、ということで話題になっているのだ。

それぐらい、投資環境は、今悪い、ということだ。

厳密に言うと、実物投資、非市場性投資は絶好調というか、投資先を求めているが、いわゆる金融市場はすがるものがなくなって、一歩間違うと危機寸前、ということなのだ。

それが、8月からの大混乱の背景、いや底流としてあるものなのだ。

だから、日本から見るとなんでこんなに株式市場が乱高下するのか、と不思議に思うことであるが、世界的には、とりわけ米国では、不思議でも何でもなく、リスクのど真ん中にあることなのだ。

つまり、ヤバい、のだ。

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蛇足。

明日利上げはあるのか。

これほど予想が割れていることも珍しいと思うが、それゆえ、利上げは一度待つと予想する。

ここまで、これほど慎重に、丁寧に待ってきたのに、ここで上げて混乱してしまったら、何の意味もない。

ただ、米国的な発想として、実体経済の数字がこれだけ揃っているのに上げられなかったら、FEDと投資家の戦いにFEDが負け、となってしまう、ということはある。そんな意地にならなくても、という感覚が日本的だが、勝ち負けの世界で生きている人々にとっては、負けは許されないので、負けてしまうと、今後も投資家になめられるので、それはそれで金融政策にマイナスになるのも事実だ。

しかし、ここは、やはり一度先送りするのが妥当な判断だと思う。