幕末に砕け散った「彰義隊」描く映画

幕末という「時代」には、多種多様なドラマがうねるように巻き起こったわけだが、江戸幕府が終わりを迎える瞬間に際しても、今の時代に生きる者からは理解できない人間の行動があった。例えば、江戸開城前後、上野に立てこもった「彰義隊」の存在だ。

1868(慶応4)年、鳥羽伏見の戦いで負けた徳川慶喜は朝敵となって江戸へ戻ったが、新政府に対して恭順の意思を示し続け、4月11日には上野の寛永寺を出て水戸へ向かい謹慎を続けた。慶喜は一橋家を嗣いだが、御三家である水戸藩の第9代斉昭の七男だったからであり、幼少期は水戸で養育されている。

徳川家の人間でありながら極端な勤王家だった慶喜は、鳥羽伏見でも薩長や岩倉具視らがでっち上げた錦旗を畏怖して大阪から江戸へ逃げ、寛永寺から水戸へ移ったのも慶喜警固のために蝟集した「彰義隊」など旧幕臣の暴走を抑えるためだった、と言われている。

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上野公園には彰義隊の墓がある。今でも献花が絶えない。

「彰義隊」は、新政府にあっけなく「降参」してしまった徳川幕府に対する憤りを持った者や旧時代に「殉死」するつもりの者、義侠心にかられて馳せ参じた者など、盛時には3000人ほども集まったようだ。しかし、勝海舟と西郷隆盛の談判で江戸城が無血開城し、慶喜が水戸へ去り、新政府軍が江戸へ入ってくると、強硬派以外は次第に逃げ散り、最終的には数百人規模になっていたらしい。

「彰義隊」の強硬派は、江戸市内へ進出した新政府軍と小競り合いを続けたため、新政府軍はついに慶応4年5月15日に「彰義隊」の本営がある上野を総攻撃する。これが戊辰戦争の局地戦の一つ、いわゆる「上野戦争」だが「彰義隊」は最新式の兵器をそろえる新政府軍にわずか1日で敗北した。

上野の戦闘では200人以上の「彰義隊」隊士が戦死したようだが、最激戦地は新政府軍の西郷隆盛が指揮する薩摩軍が攻めた寛永寺の黒門口だった。「彰義隊」は瞬時に壊滅したが、それでも戦意を喪失しなかった一部の隊士は北関東や会津、北海道へと転戦し、その後の戊辰戦争を戦っていくことになる。

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上野戦争で焼け残った寛永寺の本坊の表門(黒門ではない)。

そんな「彰義隊」を描いた映画が『合葬』だ。原作は、江戸研究家でもあったマンガ家の杉浦日向子、監督は小林達夫、柳楽優弥と瀬戸康史のダブル主演。ほかの出演者はオダギリジョー、門脇麦ら。9月26日から公開される。

上野には今でも「彰義隊」ゆかりの遺物が残っている。西郷像の背後には、木立に囲まれて彼らの墓があり、薩摩軍と衝突した寛永寺の門には、当時の弾痕がある。また一部の隊士の墓は、上野から近い三ノ輪の円通寺にもあると言う。数百人の旧幕臣が、なぜ圧倒的な新政府軍に無謀とも思われる戦いを挑み、卵が潰れるように壊滅したのか。この映画ではそんな隊士の心境の一部が描かれている。

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寛永寺の表門には、今でも上野戦争時の弾痕が残っている。

シネマトゥデイ
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アゴラ編集部:石田 雅彦