こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
先だって、東京都では今年4月から男性の不妊治療にも助成制度が始まったことを議員にあるまじき形でお伝えしましたが(笑)、
都議会議員だけど、精液検査(男性不妊治療の例のアレ)を受けてきた【ほぼ雑談】
http://otokitashun.com/blog/daily/8222/
来年(平成28年)4月から、また制度に変更があります。
残念ながら、不妊治療は43歳までとの年齢制限がつくことになりました。
東京都特定不妊治療費助成の概要
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html
>43歳以上(治療開始日)の方は制度変更に伴い平成28年4月以降は申請できません。(受付期間の特例なし)必ず平成28年3月31日(消印有効)までに申請をしてください。
「年齢で人を差別するのかっ!」
という批判はあろうかと思いますが…ここに至るまでは、慎重な議論が重ねられてきました。
厚生労働省の報告書によると、生産分娩率(1回の治療で出産に至る確率)については32歳くらいまでは概ね5回に1回の割合で推移しているものの、30 歳代半ば以降徐々に低下。
39歳には10回に1回、43歳には50回に1回、45歳以上では100回に1回になるそうです。
40歳を超えてから急激に落ちて、2%以下になってしまうのですね…
さらに、特定不妊治療を行った場合の流産率を見ると、40歳では3回に1回以上、43歳で2回に1回以上が流産となっています。
上の確率と組み合わせれば、ざっくり43歳の不妊治療の成功率は1%以下に。。
参考:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000022029.pdf
元々の助成制度でも上限は6回でしたから、これでは妊娠・出産に至る可能性は限りなくゼロに近いわけです。
しかも不妊治療助成制度の利用者はやはり、高齢の方が多いわけで…
限られた財源の活用という観点から、この助成制度の変更には合理的な理由があると判断せざる得ないと言えます。
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「年齢の壁」は、私が取り組んでいる特別養子縁組とも密接に関わります。
不妊治療が上手くいかなかったご夫婦が、どうしても子どもを持ちたいために
「それじゃあ、養子でも取るか」
という方向に向かうことは多いと思われます。
しかしながら、「愛知方式」の特別養子縁組ですと年齢上限は40歳、東京都は50歳までですが、やはり若い里親家庭が優先される傾向にあるようです。
40歳ですと子どもが成人する頃には60歳、50歳なら70歳です。
やはり、
「子どもが巣立つ(成人する)まで、一緒に居てあげられる可能性が高い」
「せっかく家族になるのなら、できるだけ長い時間を共に過ごさせてあげるべき」
「外見上も、親子として違和感がない方が良い」
などの理由によるもので、こちらにも一定の合理性があります。
非常にセンシティブな話題なので、政治家としては触れたくない分野かもしれませんが、「年齢」という現実と向き合うことは必要不可欠と言えるでしょう。
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特にこの東京都の不妊治療助成については、平成28年4月以降の救済措置は一切ないとのことですので、対象となる可能性のある方はお早めに確認することをオススメ致します。
政策でもっとも効果的な結果を出すために、政治は時に厳しい決断をするときがあります。
限られた予算、生物学的な年齢、合理性、子どもにとっての幸せ…
もちろん制度は、医学や科学の発展・価値観とともにまた変わっていくもの。
難しいことも含めて、しっかりと皆さんと話し合いながら向き合い、政策決定していくプロセスを共有したいものです。
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
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