先日、このようなニュースがありました。
・現役保育士ら、安すぎる給与の改善など訴え(FNN)
なぜ給与が安いことを、国に訴えるの?と思われる人もいるかと思い、少し解説いたします。
保育所の収入は「公定価格」と言って、補助金によって成り立っています。世帯収入がない人は保育料を払わないで良く、補助金でカバーされ、世帯収入が高い家庭はそれなりに(ただし上限がある)払ってもらう仕組みです。
なぜなら、保育所は福祉施設であり、教育と同様貧富の差に関係なく利用できるようにするためです。オプションとしてお金を取ることも制限されています。なぜなら、「お金をもっとくれれば、もっと良い保育をしてあげるよ」となると、貧富の差なく受けられる保育という原則から外れるためです。
さて、そうした仕組みがゆえに、保育所の収入額は決まってしまいます。一方支出の7~8割は人件費です。利益率が高ければ保育士給与の増額も可能ですが、税金で行う事業ゆえに、過大な利益は宜しくないということで、利益額はどんなに頑張っても一定程度しかでません。
よって、保育士給与は低いままになります。
解決策としては、公定価格、すなわち補助単価を上げることです。国は1兆円強の予算を投入すると決めたにも関わらず、財源確保ができず、4000億円が足りないまま、7000億円の水準にとどまってます。これでは保育士給与の大幅な引き上げは難しいのです。
ちなみに軽減税率の財源の方の4000億は、福祉予算を削ってでも捻出される予定です。皆さん、政策の優先順位、これで正しいと思いますか?
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2015年11月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。