ネット投票がゆっくり動き出した

10月9日に、「18歳選挙権の次は、ネット投票の実現を」という記事をハフポストに投稿した。若者の政治参加を促進するために、今までの紙だけによる投票形式を見直し、いつでも、どこでも投票できるネット投票を実施するように求めたのが、記事の趣旨である。

その時点では、AKB選抜総選挙などのアイドル総選挙だけが、わが国におけるネット投票の実践例だった。記事にも書いたように、一度報道発表された維新の党のネット党首選挙は党の分裂で中止になってしまった。

ところが、その後、自由民主党が来年の参議院議員選挙の比例代表候補の選定にネット投票を用いる、と発表した。「オープンエントリー2016」は、候補者の選考過程をオープンにし、有権者が候補者選びに参加できる仕組みの構築を目指すものだ。ネット投票には自民党員だけでなく、事前登録した一般市民も参加できるという。

ネット投票がゆっくり動き出したことを歓迎したい。

先のハフポストの記事にはいくつか質問が寄せられた。有権者の真正性をどのように確認するのか、重複投票をどのように排除するのか、正しく開票されたことをどのように確認するのか、ネット投票サイトに対するサイバー攻撃をどのように防止するのか。

このような技術的な質問は、ネット投票の運営者にぶつけるのがよい。情報通信政策フォーラム(ICPF)では、11月11日水曜日に、「ネット投票ビジネスの可能性 アイドル総選挙から学ぶ」と題するセミナーを開催し、アイドル総選挙の運営を担当した株式会社パイプドビッツから話を聞くことにした。ネット投票への懸念を払しょくする機会になれば幸いである。