どうも新田です。ここ数日、胃腸炎で医者から人生初の禁食を命じられたのですが、体重減少は1キロにも満たず、結果にコミットできませんでした。ところで、そのライザップのCMといい、五郎丸ポーズの一語に集約したラグビーブームといい、流行語大賞がその年の世相を反映する風物詩として定着して30年経つわけですが、きのう発表された2015年のノミネート50語の速報記事を見た途端、おやっと思ったわけですよ。なんですかこれは。
エントリーに目立つ“安倍disり”
ご覧の通り、黄色の部分が「政治ネタ」なんですが(マイナンバーは「行政ネタ」と判断)、50語中、17語も占めるというのは、例年に比べても異例の多さじゃないですかね。安保法や国会デモ関連だけでもその半分近くということで、やはり夏場の甲子園のアルプススタンド並みに“盛り上がった”ようにも見えるわけですが、それを扇…もとい先導的存在となった「SEALDs」はともかくとして、中でも安保法案を「戦争法案」とした表記にはどうも主催者側の強いバイアスを感じざるを得ないんですよ。
福島みずほセンセが「戦争法案」と「レッテル貼り」をするのは、社会党由来の古き良き伝統芸なので、ああそうですかと思いつつも、報道機関が記事や放送に使うトピックでは「安全保障関連法案」であり、国民の皆様のNHKはもちろんのこと、法案に反対&安倍さん嫌いの朝日や、朝日より左翼の東京新聞でも使用している“統一用語” になっております。
国論が二分する話題をどう評価すべきか
一昨日に発表されたNHKの11月の世論調査では、安倍政権の支持率は4ポイント上がっており、安保法案絡みでいうと、南シナ海の中国の人工島付近をアメリカのイージス艦が航行したことを日本政府が支持したことに「適切だ」という世論が61%と、「適切でない」の8%に圧勝しております。先月の調査で安保法案の成立に関して「あまり評価しない」「全く評価しない」が合わせて過半数だったことを考えると、国民の一定数は安保法案に微妙な印象を持つ人を含めて、やはり中国の軍拡には不安を持っているわけですね。
毀誉褒貶のある言葉についてはカッコ付け、つまり「戦争法案(安保法案)」とでもやっておけば角が立たなかったと思うわけですが、そんなに大して話題にもならなかった安倍さんの国会ヤジ「早く質問しろよ」までが、わざわざエントリーしているのを見ると、流行語大賞の運営方針に強い政治色の本音が隠されているのではないかという想像をしてしまいます。
※デモの主役、SEALDsが大賞をゲットするのか?
過去には“アホノミクス”が候補にも
ここで流行語大賞の由来を紐解くと、「1年の間に発生したさまざまな『ことば』のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰する」だそうです(公式サイト)。
みずほセンセの「戦争法案」は、確かに左翼芸人のネタとして響きもあって面白いし、所詮流行語というものは“軽妙洒脱”さを追求してこその大衆文化の産物なわけですが、再三言うように年末の風物詩として定着している以上、国民世論が真っ二つに分かれるような言葉について、偏りが目立つと違和感を覚えざるを得ませんね。実際、安倍さんが「アベノミクス」でトップテン受賞した2013年には「アホノミクス」も候補に入れていた“前科”まであります。
30年の歴史があるので、流行語大賞の出自を知らない若い人のために振り返っておくと、そもそもは「現代用語の基礎知識」のPRキャンペーンだったわけです。紙媒体衰退の波には勝てず、創刊当時よりも10分の1に部数が減っているからこそ、エッジをかけてきたとは思いたくないんですが、近年冠スポンサーとしてバックアップしているユーキャンにとっても、あまり政治色が見え隠れすることはどうなんでしょうか。
SEALDsが受賞すれば炎上PR効果も
まあ、そんなこんなで今年も師走の足音が近づいて参りました。12月1日の大賞授賞式にはSEALDsのメンバーたちが大賞受賞者としてドヤ顔で出てくるんでしょうかね。それはそれで朝日やTBSがはしゃぎ、ネトウヨが激怒するというお祭り炎上化するわけでPR効果はあるのでしょうね。
一応、関係者の方に念のために申し上げておくと、別に私は安倍政権の政策に対しては是々非々のスタンスです。ではでは。
新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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