価格の設定で自らを傷つけているマクドナルド --- 松田 公太

アゴラ

ネット上でも話題になっているようですが、私も以前から気になっていたマクドナルドの価格設定。セット価格の迷走と同じように、単品価格でも不思議な状況になってしまっています。

※マクドナルドは業績を回復できるのか?(Wikipediaより、アゴラ編集部)
TokyoSetagayaMcDonalds
一番首を傾げてしまうのがチーズバーガーとダブルチーズバーガーの価格差。
チーズバーガーは130円、ダブルチーズバーガーは340円なので、チーズバーガーを2個買った方が圧倒的にお得ということになっています。

普段は原価などを気にしない人でも、さすがにこれはおかしいと感じるはずです。
パティ(肉)の量は同じで、バンズ(パン)が2倍になるのに、チーズバーガー2個の方が80円も安いわけですから。チーズバーガー3個(390円)でやっとダブルチーズバーガー1個(340円)と同じぐらいという感覚です。

その価格設定の理由はマクドナルド広報によると「ハンバーガーやチーズバーガーにお得感を出したいから」だそうです。

タリーズコーヒー社長時代にドリンク価格を考える時、私も売り出したい主力商品の値段を少しお得にしたことがあります。しかし、それでも原価率で2~3%程度の差。そこに大きな差をつけてしまうと、価格設定の在り方に消費者から疑義が生じ、会社全体のブランドイメージに影響が出ると考えたからです。

街にある個店のラーメン屋や蕎麦屋で明らかに「?」という価格のメニューに出会うことがあります。例えばタヌキ蕎麦が一杯350円なのに、月見タヌキ蕎麦が450円。卵を単品でオーダーしたら50円なのに、その差の50円って何?という感じで(笑)

しかし、そこは個店のご愛敬ということで、「計算を間違えたのかな?」とか「店主に卵を割ってもらう手間賃が50円なのだろう」と妙に納得することができますが、大手チェーンではそうは思えません。経営のプロが価格設定をしていることは容易に想像がつくわけで、ある商品に差があり過ぎると他の価格まで意図的に操作をしているのではないかと疑心暗鬼になってしまい、それがブランドイメージの低下にじわじわと繋がってしまうのです。

実はチーズバーガーとダブルチーズバーガー以外にも疑問が生じるメニューがあります。

ビッグマックは長年マクドナルドの最上位商品ですが、クオーターパウンダー・チーズ(QPC)の方が今は値段が30円上になっています。QPCのパティの量が2.5倍だとしても、ビッグマックも2倍で、バンズが一枚多いうえにレタスも入っています。ビッグマックの原価の方が高いか同じぐらいだと思うのですが、ここで30円(約1割)の差をつけるのはどういう意図があるのでしょうか?(本家の米国をはじめ、殆どの国ではビッグマックがQPCより高く設定されています)

チキンフィレオの340円に対してチキンクリスプの100円という大きな差は一体なんなのでしょうか?

そのように次から次へと「?」が出てくる上に、最近ではフレンチフライなどのサイドメニューが原価と比較して値段が高すぎるということも知られ始めてしまっています。

マクドナルドの復活の為には、まず信用を取り戻さなくてはなりません。それは中国鶏事件や異物混入問題などに見られた衛生面だけではなく、価格設定やその他すべてにおいてそうなのです。

私は価格に関しては、カテゴリーごとに素直に原価率を反映させるのが一番よいと思います。それが消費者の高めの商品への購買意欲をあげるからです。そうでなければ、疑心感は拭えず、いつまでも売り上げは安めの商品に集中してしまいます。そうすると利益率の改善も実現できるわけがありません。

マクドナルドには時々厳しい提言をしてしまいますが、高校時代にアルバイトをして、チェーン店の在り方や、フランチャイズというシステムの基礎を学ばせて頂いたブランドだからこそ頑張って頂きたいと考えている故にです。ぜひ、早くこの混迷から抜け出し、復活に一歩でも駒を進めてもらいたいと思います。


松田公太宣材


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。