大阪が名古屋に抜かれる日がやってくる --- 内藤 忍

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日本の2大都市と言えば、東京と大阪というのが常識ですが、それが変わる時が来るかもしれません。日経新聞11月13日の朝刊記事によれば、2015年10月末の大阪と名古屋の中心部の月額平均募集賃料の差は3.3平方メートルあたり324円。数年内に逆転するかもしれません。日本の2大都市が、東京と名古屋になる時が来るのでしょうか?

不動産の価格を決定する大きな要因として、インフラ整備と人口動態があります。

2027年にリニア中央新幹線の開業を控える名古屋は、インフラ整備に伴う恩恵を大きく受けています。今後は、工事用地の確保のために、名古屋駅前のオフィスの移転もはじまり、それに伴うオフィス需要の高まりも期待されます。一方の、大阪では、当面大きな開発計画もなく、中心部で2013年に完成したグランフロント大阪が満室にならないなど、市況の弱さが目立っています。この傾向はこれからも当分続きそうです。

人口動態でも名古屋は大阪より優位に立っています。総務省が公表した2014年10月時点の人口推計では、全国47都道府県のうち、人口が増えたのはわずか7都県だけ。その中に愛知県は含まれていて、0.17%の増加となりました。一方の大阪は、0.15%の減少と対照的な動きになっています。

しかし、そんな名古屋よりも圧倒的に好調なのが、東京のオフィスビルです。同じ2015年10月末の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均賃料は前月比18円上昇し、1万7612円となっています。「東京絶好調、名古屋堅調、大阪不調」という構図です。

日本国内では、一部の特別なエリアを除けば、「東京23区 v.s. それ以外の日本」という2極化が進むと思っています。東京オリンピックというイベント要因だけではなく、単身者の東京への流入、外国人の増加、シニア世帯の都心回帰など構造的な都心集中の流れがあるからです。

日本国内でも不動産の投資環境は、エリアによって大きく差が出てきます。目先の利回りだけではなく、5年後、10年後の人口動態やインフラ整備を見越した「長期的な視点」が益々重要になることだけは確かです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。