Uberのようなイノベーションを日本で増やす方法

スマホによる配車サービスUberは、世界中で現地のタクシー会社と紛争を起こしている。これは多くの国でタクシーが免許制だから、無免許の「白タク」になるためだが、なぜタクシーには免許が必要なのだろうか?

商店のように地理的に固定されていると、客をだますと評判が落ちて商売できなくなるが、移動しているタクシーはそういうペナルティがきかないので、免許で国が信頼を保証している。しかしスマホが発達すれば、タクシーも追跡して悪質なドライバーはUberから追放することでペナルティが可能になる。

これは旅館業の免許の代わりにAirbnbが使えるのと同じだ。つまり今までは免許という参入障壁によって実現していた評判メカニズムの機能をモバイル・ネットワークが代行しているのだ。

同じことは、他の職業免許にもいえる。弁護士や税理士はその最たるもので、本人訴訟や本人申告ができるのに、代理人に免許が必要なのはおかしい。その他の職業免許も、フリードマンが『資本主義と自由』で50年以上前に指摘したように、資格試験で十分なのだ。

「無免許の医者の誤診で命を落としたらどうするのか」という反論があるが、免許をもつ医者の誤診で命を落とすことも多い。合格率80%以上の医師国家試験が、技能の保証にはならない。アメリカでは医療費が非常に高く、低所得者ほど寿命が短い。日本では、高い医療費が健康保険の破綻の原因だ。

免許の代わりに、Uberのようなネットワークで追跡し、誤診の多い医者を排除するシステムをつくればいい。ホームドクターは無資格で十分だが、外科手術のように命のかかる治療については資格をもつ医者を選べばいいのだ。医療のコストが下がれば、多くの命を救うことができる。

このように職業免許を廃止して資格試験にすれば、Uberのようなネットワークはあらゆる業種に応用できる。たとえば大学は、学歴という資格で技能を保証するシステムだが、そのために4年も浪費する必要はない。個人の職歴を追跡して技能を詳細に解析するシステムをつくればいい。

おそらく最大のビジネスチャンスは、金融だろう。ビットコインのような電子通貨で無免許の銀行を可能にすれば、金融ビジネスは大きく発展する、とEconomist誌は論じている。