本日の日本経済新聞の報道によれば、厚生労働省と国土交通省は、個人が所有するマンションや戸建て住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」を来年4月にも全国で解禁する方針にしたそうです。2020年に東京オリンピックを前にAirBnB(エア・ビーアンド・ビー、写真)に代表される新しい宿泊形態が急速に広がる可能性が出てきました。
具体的には、厚生労働省が2015年度中に旅館業法の省令を改正して、「ホテル」「旅館」「簡易宿所」「下宿」の4種類の営業許可に、新たに「民泊」を加えるという案が有力だそうです。都道府県などに申請して、営業基準を満たせば、許可を得られることになります。
また国土交通省も建築基準法で「ホテル・旅館」に区分けされると必要になる非常用照明の設置などを民泊については不要にする方針とも報じられています。
もし本当にこのような規制緩和が進めば、日本の観光業界、そして不動産業界には大変動が起こることになります。
まず、AirBnBなどで民泊に参入する大家さんが激増します。法的に問題があった状態では躊躇していた人たちが、安心してはじめることになるからです。競争は激化して、宿泊価格に下方圧力がかかります。一方で民泊用のマンション賃貸需要が高まれば、家賃は上がります。現状では自分で賃貸物件を借りて、それをAirBnBで貸している人も多いようですが、このような方法では、収支が合わなくなるかもしれません。
そして、ホテルや旅館の宿泊料金も下落します。民泊の供給が増え、良質な物件が予約しやすくなりますから、割高な料金のホテル・旅館から人が流れることになるのは自然な動きです。
ただ、今回の規制緩和の記事で気になったのは、旅館業法の許可であれば、宿泊日数の制限が無くなる一方、民泊が旅館業法の許可になることから、固定資産税を6分の1に軽減する住宅向け特例が当面は適用されないという部分です。規制緩和のルールに乗っ取り、きちんと民泊ビジネスを進める人たちと並行して、固定資産税逃れのために申請をしないで未許可で運営する人も出てきそうです。
新聞報道なので、まだ未確定な部分も多いと思いますが、民泊実現への流れは、予想以上のスピードで進んでいるようです。ホテル・旅館業界の反対によって、この流れが止められないように祈りたいものです。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。