airbnbでヨーロッパを周遊してみて --- 鈴木 健介

一昨年、私は妻と2歳の息子と3人で、1年2ヶ月28ヶ国、アジア・中近東・アフリカ・ヨーロッパをバックパッカー旅行で廻ってきたのだが、昨年の春にヨーロッパでairbnbを使ってみた。

今まで安宿を中心に泊まってきた私が、airbnbで泊まった1つ目の理由は、その安さから。

バックパッカーとして旅をすれば、アジア・中近東・アフリカの物価は安いが、ヨーロッパに入ると格段に高い。booking.comなどの予約サイトで最安値の宿を選んでも、ダブルルーム1部屋の価格で、南欧が4000円、中欧で8000円はする。アジアで300円、中近東アフリカで1500円程度から泊まれるので、いかにヨーロッパが高いかわかる。

そこで何か安く泊まれる方法がないかと、モロッコ滞在中に探してみた。まずはカウチサーフィンという、民家を無料で泊まれるサイトがあったのだが、これは私がすでに日本の自宅で外国人を何回か泊めたという「レビュー」が無ければ相手も信用して泊めてくれないので、この時点でカウチサーフィンを利用して無料で泊めてもらうことは難しそうだった。

次に見つけたのがairbnbだったのだ。カウチサーフィンは無料でairbnbは有料。有料な分、後腐れなく、気軽に泊まれるかと思い、airbnbで部屋を探した。

すると、宿泊予約サイトの最安値の半額くらいから部屋が見つかったので、早速予約してみた。私のレビューがまだ無いにもかかわらず、最初の部屋のホスト(宿主)が泊めてくれ、すぐにレビューも書いてくれたので、その後はトントン拍子で宿泊することができた(それでもレビューが少ないせいか、予約成功率は50%)。泊まった国はスイス・リヒテンシュタイン・オーストリア・チェコ・スロベニア・クロアチア・スリランカで、スイスの場合はブリークという町のホテルで最低15000円もしたので、8000円で泊まれて助かった。

2つ目の理由は、安宿に泊まるより、よっぽど快適だから。

私が泊まったホスト達はすべて自宅の空部屋を貸してくれたのだが、安宿よりも広く、清潔で、アメニティも豊富、なかには毎日差し入れをくれるホストもいた。ヨーロッパ人は家に愛着を持ち永く大切に使うので、部屋も共同のトイレバスも非常に綺麗なのだ。どんなに古い家屋でも、大事にメンテナンスしている様が、ありありとみてとれる。

3つ目の理由が、程よい距離感。

安宿やホテルよりも、より親しい接客対応にも関わらず、こちらが求めなければ、相手も近づいてこない、絶妙な距離感。ただこれは、私が「まるまる貸切」か「個室」を選択したからであって、「シェアルーム」を選んでいたら、また違っていたと思う。

3つの理由が常に当てはまったので、チェコ以降、物価の安い国に行ってもairbnbを使い続けた。残念ながらアジアに戻ると、airbnbは無名なのか部屋数はガクンと減る。それに、値段も安宿と変わらないか、むしろ高い。

アジアでは安さで決めるのではなく、ホストのホスピタリティや、大家族とのシェアルーム、少数民族の家に泊めてもらうなど、文化を目的とした方が合っていると思う。

日本では両方の使い方ができると思う。

安さを優先するなら、ゲストハウスで1人2000円かかってたのが、aiebnbなら1部屋2000円。文化を優先するなら、市内を案内してもらったり、日本の家庭料理を作ってもらったり、和風家屋や古民家で畳と障子の和室に布団と浴衣。

早速、私も部屋を登録してみようかと思う。世界各国の外国人が家に泊まりに来てくれれば、日本にいながら旅をしてる感覚に戻れるから。

鈴木健介

無職37歳。
バックパッカー。訪問42ヶ国。
元音楽家。シングル「善悪無記の形相」、アルバム「ドクサ」発売中。
早大卒。
けんすけのこばなしより