資産配分を一任してお任せする「ラップ口座」が残高を伸ばしていますが、同時に人気になっているのが「ラップ型投信」と呼ばれる投資信託形式の運用商品です。12月2日の日経新聞朝刊によれば、ラップ型投信の残高は10月末で9286億円と1年で約3.5倍に膨らんだそうです(図表も日経新聞電子版から)。
ラップ口座にせよ、ラップ型投信にせよ、アセットアロケーションによって金融商品に分散投資を行い、長期で資産を増やしていく運用方法で最も大切なことは「コスト」です。記事の中では、株式や債券、さらにはヘッジファンドまで組み入れた主なラップ型投信のコストが表にまとめられていますが、年間の管理コストに当たる信託報酬が1%以下のものは1本もありません。
さらに、対面の銀行や証券会社で販売しているファンドの場合は、販売手数料という購入時のコストもかかります。こちらは購入時の一回きりですが、販売手数料が1%ということは、購入した瞬間に運用利回りがマイナス1%になることを意味します。ネット証券の販売手数料のかからないノーロードファンドで運用すれば、このようなムダなコストは排除できます。
ラップ型投信に関しては、組み入れている資産についても吟味が必要です。表に掲載されているファンドの中には、ヘッジファンドが組み入れられている商品が何本か存在します。具体的にどんなヘッジファンドなのかは運用報告書で確認する必要があります。いずれにしても「ヘッジファンド=素晴らしい運用」という幻想は持たない方が良いでしょう。
アメリカ最大の年金基金であるカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)は運用資金をヘッジファンドへの投資から撤退させると、昨年発表しました。他の年金基金もカルパースの方針に追従するところが増えています。記事の中でのコメントとは逆に、機関投資家と言われるプロの投資家は、ヘッジファンド離れを進めているというのが正しい理解です。
資産を分散させて投資をしていくこのような運用の場合、年間に期待できる平均のリターンは7%程度が限界だと思います。信託報酬が最大2%近くかかり、さらに販売手数料が最初に差し引かれるラップ型投信。せっかく、好運用でリターンが出ても、その多くは金融機関の手数料に消えていきます。
大手証券会社や信託銀行の提供するラップ口座は、このようなラップ型投信に輪をかけて高コストですが、昨日「マネックス・セゾン・バンガード投資顧問」の設立が発表され、高コスト業界の価格破壊が始まる予感がしてきました。
私が応援している「お金のデザイン」は、既に低コスト高品質の一任運用サービスを提供しています。
金融商品の選択で大切な3つのことは「まずコスト、そして次にコスト、さらに3つ目もコスト」です。金融資産の運用にもっとコスト意識を持った個人投資家が増え、このような新しいサービスを活用する人が増えて欲しいと思っています。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。