きのう都内で行なわれた「安保法廃止集会」に登場した石田純一氏の演説が話題になっている。「世界一平和で安全な国をなぜ変える必要があるのか」とか「『中国が攻めてきたら、私たちどうやって戦うんだ』というのを反知性主義というのではないか」などと言ったあげく、「〝重要環境事態法〟がわかりにくい」という意味不明な話で終わった。
これは重要影響事態法(周辺事態法の改正法)の間違いらしいが、彼は日本が平和で安全だったのは法律のおかげだと思っているのか。わかりにくいなら勉強するのが、常識ある大人というものだろう。これでは、きょうの記事でおときた氏も批判しているシールズの頭の悪い学生と同じだ。
きのうの集会に集まった「くるみ」という匿名の女子学生は、産経によれば「日本帝国100年の総括をしよう」といっているが、〝日本帝国〟なるものは何年に始まったのか。彼女も「憲法審査会の3人の憲法学者の〝違憲判決〟を無視した」などと意味不明なことを口走っている。
ここに見られるのは、左翼とか右翼とかいうイデオロギーではなく、単なる無知蒙昧である。かつて左翼が少数派ながらも社会的影響力をもちえたのは、それが日本の知識層を代表しているというイメージがあったからだが、シールズは見事にそのイメージを打ち砕いた。
彼らは錯覚しているが、戦争は日本が起こすとは限らないのだ。数百基のミサイルを日本に向けている北朝鮮の政権が崩壊するのは時間の問題だ。そこに中国が介入したとき、韓国は中国の衛星国家になることを選ぶかもしれない。シリアと同様の内戦になれば、朝鮮半島でも1000万人以上の難民が発生し、日本にも押し寄せるだろう。
そういうとき心配なのは、ここまでバカになった左翼ではなく、フランスの地方選挙で圧勝した国民戦線のような「民族派」勢力が台頭することだ。しかし今の自民党右派にはマリーヌ・ルペンのような行動力はなく、左翼にもそれを止める力はない。
アベノミクスは失敗に終わり、日本は不況に入った。1930年代のような大不況になり、財政が破綻したとき、「自民党も野党もだめだ」という形で、皇道派青年将校のような集団が登場するかもしれない。今のところ、無知で行動力がある点で彼らともっとも似ているのは、シールズである。