産経ソウル支局長の無罪判決と「脱亜論」

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昨日の産経新聞ソウル支局長無罪判決は両国関係のためによかった。ただ裁判官が「外交的配慮から無罪とする」と半ば公言したのには驚いた。あの裁判官には職業人としての誇りがどこにある。

あの判決を聞きながら大津事件を思い出した。明治24年ロシア皇太子(当時)ニコライ2世に切りつけた津田三蔵の量刑に関し政府は刑法116条「皇室に対する罪」を類推適用して死刑に処すよう求めたが、大審院はそれに屈せず通常の殺人未遂として無期懲役の判決を下し司法権の独立を守った。
これに反し、今回韓国は大統領の指示によったか又は大統領の意を体して検察が加藤支局長を起訴し、今度は外務省(又は大統領)の指示によって無罪判決を下した。どこに司法権の独立がある。

日本外務省のホームページから「韓国と価値観を共有」の表現が削除されたのは、この事件に加えて対馬仏像盗難事件が背景にあったものと思われる。被害者が日本人であれば盗品を返す必要がないとする国と価値観を共有できるわけがない。

もっとも巷間のうわさ話を、何の独自取材もせずそのまま記事にした加藤支局長もジャーナリストとしてほめられない。

ではお隣中国では法治主義があるだろうか。
中国政府は「法律に従って」の表現が大好きだが、これは中国が法治主義であることを意味しない。今の中国には政府をも超える自然法という概念はないので共産党政府の都合によってどんな法律でも作れる上に包括的な規定が多いのでどんな解釈も自由自在だ。「国家の利益」等多義的な解釈を許す法律など法律の名に値しない。つまり司法の独立も法治主義もないという点で韓国と旧宗主国は瓜二つだ。

いわゆる従軍慰安婦のこと
いわゆる従軍慰安婦に請求権があるとすればソ連兵に強姦された上に殺され或いは自殺した満州の日本女性や東ドイツの女性には、従軍慰安婦の一万倍請求権があることになる。

「従軍慰安婦」のウソがばれた朝日新聞は「広義の強制」などと論理をすり替えたが、広義の強制をもたらすものは貧しさだろう。そうなると特殊日韓の問題ではなくなる。貧しさから女が苦界に身を落とす例は古今東西至るところにあり今も世界中にある。朝日新聞が女性の人権を言うのであれば現に進行中のこうした問題に取り組むべきだろう。

福沢諭吉の「脱亜論」最後の一節を引用する。
我には隣国の開明を待ちて共にアジアを興すの猶予あるべからず。むしろその伍を脱して西洋の文明国と進退を共にし、その支那朝鮮に接するの法も隣国なるが故にとて特別の会釈に及ばず正に西洋人がこれに接するの風に従い処分すべきのみ。悪友に親しむ者は共に悪名を免かるべからず。我は心においてアジア東方の悪友を謝絶するものなり。

青木亮

英語中国語翻訳者