一昨日、国連総会で決められた「11月5日」が何の日かご存知でしょうか?
まず覚えておいて頂きたいのは、国内ではこの日が「津波防災の日」だということです。2011年の東日本大震災を受けて、同年6月、津波から国民の生命を守ることを目的に「津波対策の推進に関する法律」が制定されたことによるものです(15条)。
11月5日というのは、江戸時代(1854年)に中部地方から九州地方の太平洋沿岸に大きな津波被害をもたらし、『稲むらの火』のモデルにもなった安政南海地震の発生した日が由来となっています。
『稲むらの火』は、津波の恐ろしさを伝える作品で、原作は小泉八雲。地震後の異様な速さの引き潮から津波を察知した高台に住む庄屋が、稲束に火をつけて、村人たちに火事だと思わせ、消火にかけつけた村人全員を津波から救ったというストーリーです。
日本では、この日にあわせて緊急地震速報の訓練が行われるなど、津波対策についての理解と関心を深めるためのさまざまな取組が行われています。
12月22日のニューヨークの国連総会では、この11月5日を「世界津波の日」と定める決議案の採決が行われ、全会一致で採択されました。
この案は、国際社会が津波の危険性を共有し被害を減らしていくため、各国が津波の早期警報システムなどを整備する重要性を強調し、140を超える国が共同して提案したものです。特に、津波の甚大な被害を経験した日本とチリが主導して、採択に至りました。
これによって来年以降、この国際デーに、国連などの場で日本が中心となってさまざまな津波への備えを啓発する活動が行われることになります。世界で最も多く津波の被害を受けてきた国として、日本の国際貢献が期待されます。
国際社会の関心を喚起し取り組みを促すため国際デーが制定されることは非常に大きな意義がありますが、現在あまりにも多くのものがあり 、全部を覚えるのは至難の業です。
そんな中でも「世界津波の日」については、我々日本人は是非とも覚えておく必要があると思います。特に、いつ起こるか分からない南海トラフ地震や首都直下型地震。その備えの為にも、そのような意識を持ち続けることが不可欠なのです。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年12月24日の記事を転載させていただきました(アゴラ編集部で改題、画像編集)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。