昨日パチンコ業界の5団体が集まり一連の不正改造問題について記者会見が開かれました。
この会見を見た私自身の感想としては「意味不明」「自作自演」「厚顔無恥」といったところでして、特に以下の部分に関しては正直何を言っているのかちょっと理解に苦しみました。
「ぱちんこ業界としては、現下の状況を重く受け止めざるを得ません。メーカー間、ホール間での競争が激化する中、射幸性の高い遊技機の比率が市場で高まったことが、その一因ではないかと思っております。遊技客を保護するという見地から、射幸性の高い遊技機の撤去を進めていくことこそが、ぱちんこ業界にとって喫緊の課題であります。」
この辺の事情についてはまた別途まとめますが以下の資料(12/10日工組配布)にある通り2015年の年頭から不正改造問題に関する警察の指導があったにもかかわらず、パチンコメーカーとしてはそれを少なくとも8月くらいまでは無視・黙殺していました。そしてむしろ「警察が強攻策に出ない、今のうちに問題機種を売り払ってしまえ」と高射幸性の不正改造遊技機の販売攻勢をかけていたわけです。
それがここにきて警察が少し処分を臭わせた瞬間に手のひらを返して、「射幸性の高い遊技機の撤去を進めていくことこそがパチンコ業界にとっての喫緊の課題」とか「現下の状況を重く受け止めざるを得ません」とか言われても、「いやちょっと何を言っているか分からない。散々警察の言ってること無視していておいて今さらそれは無いだろう。」というのが業界外の私からみた感想というところです。
文字通り「謝ってすむなら警察いらない」という言葉が頭に浮かぶわけです。
いわゆるのめり込み、ギャンブル依存症問題への対策という観点で見てもギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表も多いに落胆し、また怒りを覚えているようでいらっしゃるようです。
そりゃそうですよね、違法行為で数百億・数千億円の利益を上げておきながら記者会見で発表した合意文書に書いてあることは
「依存(のめり込み)問題の啓蒙・啓発活動に取り組み、行き過ぎた遊技を未然に防止するため、業界全体で策定した「依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」の普及に努める」
ということだけで事実上「これまで以上のことは何もしない。」と業界団体は高らかに宣言されていらっしゃるわけですから。ちなみにこのガイドラインなるものに何が書かれているかというと、パチンコ遊技機に「パチンコは適度に楽しむ遊びです」という以下のようなシールを貼る、とか、相談機関を運営するとか、いったようなものです。
別にそれ自体の必要性は否定しませんが、本気で依存症問題の対策に取り組むなら、依存症の結果生じる貧困問題・教育問題・雇用問題・家庭内暴力問題・多重債務問題といった二次的問題に向き合う必要があるわけです。(むしろ依存症問題の「社会問題」たる本質はこちらにあります)しかしながら業界としてはこうした問題に向き合うと金銭的負担が生じるので、手をつけないというスタンスのようです。端的にまとめると
パチンコ業界としては違法営業で依存症罹患者及びその家族から膨大な金を巻き上げておきながら、その結果生じた社会問題に対しては一切対策を講じない
というスタンスを取っているのでそりゃ、依存症問題の最前線で戦われている田中さんが激怒するのも当たり前の話です。以下田中サンのブログからの引用です。
パチンコ業界の皆さん、
不正改造で不正な利益を得ていたんですよね?
真摯なお詫びの言葉の一言もないんですか?
と、唖然、茫然ですよ、全く。こっちは、そんな違法行為が行われてるなんて、
全く知らないから、一生懸命借金して、
子供たちとの旅行とか、時には進学まであきらめさせて、
借金払ってきたんですよ。そのお金で、皆さんは豪邸を建てたり、贅沢も沢山したでしょうし、
時には社会貢献なんていって、お金をばらまいて、
表彰までされてたんですよね?
というわけで、私なりの結論を申しますと、昨日の記者会見に関してはパチンコ業界に自浄作用は全くないことが証明された、というように捉えるべきなのかなと思っています。
ではどうすればよいのか?
といいますと、
①まずは警察の皆様には業界の自主規制などに頼らず粛々と法律に基づいてメーカー及び一部悪質なホールの処分を行っていただくとともに、
②問題の解決策についてはオープンに国会の場で国民の代表たる国会議員の皆様に議論していただくべきではないか、
と思っております。
ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2015年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。