昨日の2016年展望世界編に続き、本日は日本編をお届けします。
日本は元来、強いリーダーシップについていくスタイルを好む傾向があります。神道ですから神様があらゆるところにいらっしゃる発想からスタートし、現人神である天皇陛下を崇めます。もっと現実的には国民一般は政府や役所に対しての一定の期待と要求をします。会社でも上(上司であったり経営陣)との軸が中心で会社の机も一般的なスタイルは課長なり係長が島の端に座り、リーダーとなっているケースがほとんどだろうと思います。
その流れからすると日本をうまく治めるには強い首相が力強くその采配を振るうことに意味があろうかと思います。はっきりした道筋を立て、政府の目標を打ち出し、そこに国民を導くことが重要であります。
安倍首相もいよいよ4年目の挑戦となります。長い政権となりましたが、過去3年の政権運営は誰がやっても非常に難しいかじ取りであったと思います。言い換えれば誰が首相をやっても100点を取ることはできないとするならば安倍首相は個性的な政権運営であると同時にそれゆえのプラスアルファもあったと思います。例えばアメリカとの絆をよりはっきりさせ、中国からは一目置かれた形が出来たのではないでしょうか?この力関係は日本にとって重要な意味を持つはずです。それがビジネスにつながり、不要な緊張感を取り除くことにもつながっています。
但し、昨日も書きましたように2016年をゲームチェンジャーの年とするならば日本にも試練がありそうです。
例えば専門家の2016年為替予想は見事に割れています。アメリカの利上げで円はさらに安くなるとみる教科書的発想とドル安に伴う円高予想派であります。円は国際通貨ながら独自のドライブ性は薄く、ドルなどの動きに受動的に反応しやすいと言ってよいでしょう。よってアメリカの景気予想が悪化したり世界情勢が不安定になれば安全通貨として円が買われることになります。その場合、本質的ではないと思いますが、株価にはマイナスに響くでしょう。株の専門家の2016年株式市場の予想は心もち弱気という感じが見て取れます。
ただ、円が高くなるならば海外企業の買収を進めやすくなりますので企業の業容拡大にはプラスに働きます。問題は日本企業が進めたい海外企業の買収も海外で活躍できる人材が枯渇しており、高額の買収をしても成功していないケースや十分な成果が生まれていないことが増えている点です。
日本の失われた20年で本当に失ったものは何でしょうか?それは人々の考え方のような気がします。それまでの高度成長から奇妙な成熟感、そしてデフレに代表される萎縮であり、冒険をしなくなった姿勢でしょうか?それこそ子供が学校でちょっと擦り傷を作ってもクレームするのはほんのちょっとしたことにも防御心と責任転嫁があるからではないでしょうか?
日本では内需拡大に限界が生じてきており、本来ならば海外に打って出なくてはいけません。ところが過去20年間に日本人は海外で汗をかく勇気をどこかに忘れてきてしまいました。日本人で海外で活躍できるような人材は限られており、結局のところ、日本的マネージメントが展開できず、買収効果や海外進出による業容の拡大が十分成し得ていません。
幸いにしてこの3年間は政権の前向きな努力で海外志向が少し増えたような気がします。本来であればこの姿勢が教育にも伝播し、より前向きな人がどんどん育っていく必要があるでしょう。
「政権が作り出す国民性」は無視できません。より安定して力強い政府は日本を前向きに転換していくでしょう。そういう意味からも安倍政権の様々な努力はもう少し素直に受け止めてもよいと考えています。
最後に「一億総活躍時代」の意味をもう一度考えてみます。日本の人口、1億2000万人のうち高卒までは勉学に専念すると計算し、除外すると実はほぼぴったり1億人になります。言い換えれば18歳以上の人は死ぬまで活躍することを意味しております。正に日野原重明先生のように104歳になっても活躍し、社会に貢献することが必要なのです。
これは我々日本人に真の意味のリタイアはもはや存在しないともいえます。会社人間は辞めても第二の人生を通じて社会に還元し続けなくてはいけない時代だとも言えます。面白いことに女性は年を取るとより外交的になる人が多い気がするのですが、それは助け合いの精神が旺盛なのだろうと思います。ということは日本に於いて最も注力しなくてはいけないのは高齢化を迎えた男性が如何に外に出ていくか、というチャレンジではないでしょうか?
それにはやはり仕事や趣味、奉仕など一定のやりがいを持つことだと思います。人と接触すると刺激が生まれ、元気が出ます。元気な高齢者が増えれば医療費も削減でき、日本の財政にも優しいことになります。消費税引き上げ反対と叫ぶのならばまずは高齢者が元気になろうとするマインドを持つべきでしょう。
本当の幸福とは何でしょうか?地球幸福度指数でみるとちょっと古いですが、2009年に日本は75位でした。アメリカに至っては114位です。お金だけあれば先進国だと威張れるメジャメントの時代ではなくなってきたことを日本はいよいよ実感することになるでしょう。そのためにはどうしたらよいのか、これが2016年の課題になろうかと思います。
では今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 1月2日付より