「行政版食べログ(仮)」で行政不信を打破しよう

音喜多 駿

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
区議会議員である妻は元々シングルマザー問題に取り組んでいただけあって、同世代のコミュニティから身近なトラブル相談を沢山受けてきます。


家庭内暴力、学校との諍い、離婚問題etc..

しかし話を聞いているとどの案件も多くの場合、行政などの専門機関に相談していないんですね。
これには2つの理由が考えられます。

1.そもそも行政に相談するという発想がない
2.行政に相談しても無駄だと思っている

あるいはその両方の(2→1に至る)場合もあるでしょう。
これはあらゆる意味で、社会的損失を招いていると言えます。

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本腰を入れて調べてみると、行政はかなり多くの「相談機関」を持っています。
確かに役に立たなかった・相手にされなかったという例もあるかもしれませんが、逆に、

「非常に親身に相談に乗ってくれて、使える社会保障制度を紹介してくれた」
「もっと早くに相談に行っていれば良かった!」

という声も少なくありません。
行政は伊達に、色々な機能を持っているわけではないのです。

人々は納税者として多くのお金を払っており、行政側も専門家を雇って窓口を整備しているにも関わらず、「行政不信」が円滑な利用を妨げていると言えます。

それではこうした「行政不信」は、どこから生まれてくるのでしょうか。
ご自身がかつて何らかの相談をしたことに対して、行政側が不適切な対応をしたということであれば、行政不信が染み付いてしまうのも仕方ないことかもしれません。

加えて少なからずご自身の経験というより、周りの口コミから「行政なんて使えない」「相談しても何もしてくれない」というイメージが染み付いていることも多いようです(統計があるわけではないですが)。

ちなみに妻に聞いたところ、彼女も行政は何もしてくれないというイメージはやはり「すごくある」そうで、その原因は出産直後に

「娘を保育所に預けられなければ働けず、生きていけないギリギリの状態で行政に相談に行ったのに、本当に何もしてくれなかったから

とのことで、これはかなり重要な点を示唆しています。多くの若い人たちにとって生まれて初めて行政に頼るタイミングはやはり「妊娠・出産」が多いわけで、その際に不適切な対応に直面すると、行政不信まっしぐらです。

そしてこのような負の対応を経験した若い人たちは、自分の周囲のコミュニティにそのイメージを拡散していきますから、若い人たちの間に加速度的に「行政不信」が広がるのですね。

出産後も子育てを続けていく中で様々なトラブルに直面した場合、子ども家庭支援センターや児童相談所など多くの窓口はありますが、一度でも不信感を持った人々はなかなか利用をしてくれません。

そこでようやく掲題のアイディアに至るのですが、「行政版食べログ」みたいな評価サイトがあるべきだな…と。

「○○区は子育て支援課はダメだったけど、介護課は非常に親身だった」
「児童相談所に不登校を相談したら、良い適応教室を紹介してもらえた」

などのプラスの口コミにも気軽にアクセスできるようになれば、若い世代が積極的に行政サービスを活用するようになるかもしれません。

閉鎖的な第三者機関に審査・評価をさせるより、匿名でもこうしたオープンな評価にさらされる方が、サービスの質も上がっていく気がします。

フラッシュアイディアなので実現性については色々と突っ込みがあると思いますが、行政側はすんごい嫌がるだろうから、民間サイドから実現していくしかないかなあ。。

一度でも行政機関に相談に出向いてくださり、そこでの対応がわかれば議員としても問題解決に介入できる可能性がありますが、そのスタート地点に立たなければなかなか難しいのが実情です。

特に若いコミュニティに蔓延する

「行政なんて使えない」
「相談に行っても意味がない」

という風潮・イメージをどこかで打ち破らなければ、せっかくの行政機能や議員の存在も宝の持ち腐れになります。

もちろん、実際に行政側がそのようなイメージを持たれることがないよう、特に妊娠・出産期の対応を中心に改善を図っていくことも重要です。

単に区報などの行政紙や公式サイトに掲載しただけで良しとするのではなく、困っている人に的確に行政サービスが行き渡るよう努力しなければなりませんね。

議員の立場からできることも、改めて考えていきたいと思います。
それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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