”スリック・ウィリー”が、クリントン候補の命取りに? --- 安田 佐和子

clinton
スリック・ウィリー(Slick Willie)という言葉、ご存知ですか?

slickとはスムーズという同義語で、”見栄えが良い”とか”洗練されている”という意味から転じて”ずる賢い”と言った皮肉に変化します。ウィリーというのは、ウィリアムの愛称。もうひとつ有名なウィリアムの呼び方だと、ビルがありますね。

イメージが沸きましたか?そう、ビル・クリントン元大統領を指しているんですね。ウィリーは、男性器という隠語だったりもします。モニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダルを経て、アメリカ人はクリントン元大統領に笑いを誘う愛称を送りました。

そのクリントン元大統領、スーパー・チューズデーである行動に出て世間を騒然とさせています。マサチューセッツ州で「150フィート(45.7m)以内での選挙活動、及び投票権を阻止する行動を禁じる」と規定された同州の法律を無視し、スーパー・チューズデー真っ盛りの投票所に姿を現したのです!さすが海千山千の”スリック・ウィリー”、今回であだ名に政治的な意味を付け加えました。元大統領ですからシークレット・サービスを引き連れての行脚だったため周辺の道路を封鎖するなど特別措置が講じられたようで、投票を3時間近く待たねばならなかった人もいたようです。

満面の笑みを讃え、マサチューセッツ州内にある複数の投票所に登場。
slickwillie-e1457013883728
(出所:Boston Magazine)

マサチューセッツ州当局は、現時点でクリントン元大統領の違法性を認めていません。しかし目撃者がツイッターで情報を拡散した結果、一般市民が行動に出ました。クリントン元大統領を逮捕すべしとの嘆願書が届け出され、日本時間3月3日午後10時40分時点には開始から1日が経過しただけにも関わらず、既に8万人以上が署名していました。サンダース支持者を中心に人々が嘆願書に群がったのは、想像に難くありません。

クリントン陣営には、他にも妙な噂が浮上しています。

クリントン候補が”#WhichHillaryなど、同候補のコロコロ態度を変える態度を揶揄したハッシュタグを使用できないよう、ツイッターに圧力を掛けたというものです。ハフィントン・ポストは”陰謀説”を否定するヘッドラインを掲げているものの、ツイッターのオミッド・コーデスタニ会長と選挙資金集めのパーティで顔を合わせた可能性を挙げていました。

ハッシュタグは、スーパー・チューズデー前にぱったり鳴りを潜めています。
hp-e1457013873972
(出所:Twitter via Huffington Post)

アイオワ州党員集会のコイントス6連勝も神がかり的でしたが、夫のビル・クリントン元大統領の選挙違反もマジックのようになかったことになるのでしょうか? スリックなウィリーだけに、難なく切り抜けられそうですけどね。

(カバー写真:Center for American Progress Action Fund/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年3月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。