ミッキーマウスを守れ!ディズニーと著作権を巡る攻防 --- 選挙ドットコム

アゴラ

 

著作権延長法のため、従業員に寄付を募集

ニュースサイトの「Gigazine」によれば、ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下 ディズニー社)はこれまで、ミッキーマウスの著作権を守るために、著作権の保護期間の延長を図るロビーイング(ロビー活動)を行って来ました

このため著作権延長法は別名を「ミッキーマウス保護法」や「ミッキーマウス延命法」などと呼ばれています。

この活動の資金集めのため、ディズニー社は社員に寄付を募集し、2002年からは少なくとも400万ドル(約4億5年万円)以上の寄付が集められたとされています。

ロビーイングとは?

この「ロビーイング」とは、「ロビー活動」とも呼ばれます。利害関係を持つ様々な個人や団体が、自分達に有利になるよう影響力を発揮して、政府や議会関係者等に働きかけます。その昔、ホテルや議会の「ロビー」で、有力者への働きかけを行っていたためについた呼び名とされています。

有力者へロビーイングで働きかける実働部隊とでもいうべき人々を「ロビイスト」と呼びます。依頼主から金銭を援助してもらい、目的を達成するために活動します。業界や会社など、組織で圧力をかける団体は、そのままですが「圧力団体(プレッシャー・グループ)」と呼ばれます。

日本では政治家に関係した「口利き」で、多額の金銭のやり取りがあればスキャンダルになってしまいますが、アメリカでは合法で、当たり前の活動です。

著作権延長法とは?

この著作権延長法は、ディズニー社のロビーイングにより著作権の期限が切れそうになるたびに保護期間が延長されてきた経緯があります。

ミッキーマウスの初作品は1928年の「蒸気船ウィリー」でした。その当時の著作権の保護期間は「56年」ですから、著作権は1984年まで認められ、その後は失効するということでした。

しかしながら、1976年にアメリカ議会で著作権制度の大幅改正が行われ、保護期間が「75年」となり、著作権は2003年まで延長されました。

さらに、1998年には著作権延長法を制定。保護期間が「発行後95年間」となり、2023年までの“延命”がはかられました。

確かにディズニー社の原点であり、象徴ともいえるミッキーマウスの著作権が切れて、他者が著作物を自由に使用できる「パブリックドメイン」の状態となればディズニー社は経営的に大打撃を受けることでしょう。

しかしながら、保護期間が長すぎると、他者が復刻版やパロディー作品を作ることができません。新しい創作活動を行う意欲を減退させたり、過去の名作が絶版になった場合は流通が停滞するなどのデメリットも指摘されています。

夢の国にも政治が絡む

現在も交渉が進められているTPP(環太平洋(経済連携)パートナーシップ協定)でも、著作権に関する条項については、交渉内容が秘密裏に進められていることや、著作権保護の非親告罪化などがコミックマーケット文化に与える影響など様々な懸念が出されています。

一見すると泥臭い政治の世界とは縁が遠いような“楽しいこと”や“夢の国”の背後にも現実的な問題が横たわっていて、見えないところで攻防が繰り広げられているのです。

2023年が近づくと、ミッキーマウスの新たな延命措置が話題になることは間違いないでしょう。

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編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。