均衡、対称、黄金比は本当に美しいのか --- 安田 佐和子

アゴラ

3連休は皆様、いかが過ごされましたでしょうか?筆者は、この方からチケットを頂きましてパルコ・ミュージアムへ出掛けて参りました。デザイン集団トマトが25周年の集大成にThe Tomato Project 25 Anniversary Exhibition “O”を開催中というので、たまには芸術に触れてみようと足を振り向けたのです。

筆者が最も関心を引いたのは、この作品でした。

027429ee-8b50-4a2c-82df-b1a2014336ae
(出所:My Big Apple NY)

均衡、あるいは対称性の美が集約されていますよね。心をかき乱される作品が並ぶなかで、唯一安らかな気持ちにしてくれました。

対称の美には、黄金比という法則が潜みます。トム・クルーズの顔は黄金比を形成しており、揺るぎないハンサムの代名詞ですよね。米大統領予備選で共和党のトランプ候補が支持を集める背景には、隠された黄金比の存在まで囁かれるほど。

trump

fangirl-tom-cruise-golden-ratio
(出所:StockTwits/Twitter、Project Stream TV

トヨタのロゴやらダ・ヴィンチ作”モナリザ”、古代エジプト時代のピラミッド、パルテノン神殿も黄金比に基づいていますよね。

しかし人物の顔の場合、単に対称的だと歪さは禁じ得ません。以下、スカーレット・ヨハンソンは左側が本来の顔で、中央が左のみ、右側が右のみで作成した顔、ユマ・サーマンとジョージ・クルーニーはそれぞれ中央が元の顔で左が右のみ、右側が左のみになります。

1-facial-symmetry

3-facial-symmetry
(出所:American Pink

名画「風と共に去りぬ」で、主役スカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーは、右側だけキリリと弓のようなアーチを描いた眉が印象的でした。美しさは千差万別、美は見る人次第(beauty is in the eye of the beholder)という至極当然な結論にたどりつくというものです。また、人の好みがそれぞれ違うからこそ世間のバランスがある程度取れているのだなぁとあらためて実感しました。米連邦公開市場委員会(FOMC)はタカ派とハト派のバランスが均衡ではなく、後者側に傾いてますけどね。なお、あなたの顔がどれだけ黄金比に近いかは、こちらのサイトをご参照下さい。

(カバー写真:Jesús Belzunce Gómez/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年3月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。