地方創生に特効薬はない!
これだけは断言できる。
もし全国の地域で「これ」をやれば地方創生がうまくいくという「特効薬」があるならば、それをやれば済むわけで、地方創生がこれほど大きな課題になることもないだろう。
むしろ、「特効薬」をすぐに求める安易な発想が、地方の大きな課題ではないだろうか。
例えば、ぶり奨学金(※)。
※保護者等が、長島町と提携した金融機関から借りた「ぶり奨学ローン」を返済した場合で、出身の生徒・学生が卒業後、長島町に戻ってきたときには、返済した元利相当額をぶり奨学基金から補填。利息分については戻ってくるか否かに関わらず全額を補填。
全国のさまざまなメディアで取り上げていただき、期待や夢が膨らむのは嬉しいが、
●戻ってきても働く場所がなければ、意味がない
●町外で就職・結婚する人には、意味がない
という意見をたまにいただくことがある。これらの意見はしっかり受け止めた上で、敢えて言いたいのは「意味がない」わけでは決してないということ。
「ぶり奨学金」は、町内に高校や大学がなく、他の地域と比べて追加的な子育て費用がかかる長島町にとって、その費用を緩和するアプローチとして有効であり、また、人口減少が続く地域にとって、若者が地域に戻る一つのきっかけになる。加えて、補填の原資を地域のみんなで支えることで、地域内の経済の循環も促している。
もちろん、「ぶり奨学金」で、全ての町の課題が解決できるわけではない。しかし、意味がないわけでは決してない。むしろ、地方創生に「特効薬」を求めて、何もできなくなっているのが今の地方の現状ではないだろうか。
ゼロか百かという発想は、行き詰る。
それは移住・定住政策も同じこと。
ハフィントンポスト紙のインタビューの中でもそのことを力説した。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/25/nagashimacho_n_9547836.html
いろいろな施策を組み合わせて、町のさまざまな課題を解決していく粘り強い努力が必要だと思う。
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。