昨日、午前11時20分ごろ、福島第一原発における汚染水対策の柱とされる凍土壁のスイッチが入れられ、本格的な運用が始まりました。ちょうどその時間、私は、経済産業委員会での質問でしたので、この件に関する懸念点について経産省に確認させて頂きました。
2015年3月の稼働予定から大幅に遅れての開始となったこの方式について、原子力規制委員会の田中委員長は、「一種のチャレンジ」と言っています。
この発言からも分かるように、凍らせる土の量が7万立方メートルと例のない規模であるため、そもそも想定通りに機能するかどうか全く不透明です。
また、凍土壁は、完成したとしても地下水の流入を完全に遮断することはできないと言われており、効果に疑念が抱かれています。
そこで、経産省に対して、もともと地下水を完全に遮断することが目的だったはずだが、それが変わってきたことについて質問をしました。
それに対する答弁は、「流入量を相当程度落とすことはできる」というもので、明らかに当初の計画と異なるものになっていました。
さらに、山側を凍結させて地下水の流入が一度に減ると壁の内側の地下水の水位が低下し、建屋内の汚染水が周辺の土壌に流出するおそれがあると指摘し、それが「現実のものとなった場合の対策」は考えているのか、また、どのような影響が生じるのかを質問しました。
しかし、「そうならないように対策を練っている」という話が中心で、そうなった場合はどうするかの答えは出てきませんでした(2回確認しました)。
要するに、「流出した場合の対策はない」、「どのような影響が出るのかも精査していない」ということです。
つまり、今までの原発政策と同じで、「起こってしまった場合にどうするか」が無いのです。
続けて質問した、凍土壁は何年維持する予定なのか、「リプレイス(作り直し)」の必要性が指摘されているが何年ごとになるのか、そのコストはいくらかということにも、分からないようで、答えて頂けませんでした。
凍土壁は、何年間必要となるか分からず、総コストがいくらになるのかも不確定で、リプレイスとなれば、更なる国費の支出もあり得ます。何よりも、そもそもうまくいかない可能性の方が高いと考えています。ですので、バックアッププランの準備は不可欠です。
そこで、林大臣に、「いついつまで」に機能しなければ次のプランに行くという期限を設定すること、その候補として私が以前から提案しているキャナル方式(http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-11796642525.html) について検討することをお願いしました。
そして、最後に、やはり凍土壁の費用は東電に負担させるべきだと提言しました。
国民の負担で生き延びることが出来た東電。2015年度第3・四半期連結決算で過去最高となる4362億円もの経常利益を出しています。なぜ、自分が保有している福島第一原発の処理費用を支払わなくて良いのでしょうか?なぜ、それに国費を投じる必要があるのでしょうか?
大臣は全てに対して前向きに考えるつもりが無いとの答弁でした(と言うか、いつものように経済産業省の官僚が書いた答弁書を読むだけでしたし、この問題についてご存知ないような印象を受けました)。
なぜバックアッププランを準備することも出来ないのでしょうか?
今のままでは、汚染水を東京パラリンピック・オリンピックまで食い止めることも、本格的な廃炉作業を進めることも、出来ないでしょう。これでは廃炉作業が100年以上掛かってもおかしくありません。大変、懸念すべき状況にあることを皆さんにもご認識頂ければと思います。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。