米新規失業保険申請件数、米3月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)をおさらいしていきます。
米新規失業保険申請件数は3月26日週に27.6万件と、市場予想の27.0万件を上回った。グッド・フライデーの3連休を含むため振れやすいなか、前週の26.5万件からも増加。2ヵ月ぶりの水準へ増加しつつ、1973年11月24日以来の低水準に並んだ2015年10月24日週の25.6万件を依然として射程距離に残す。米労働省は特殊要因を指摘していないが、30万件割れは56週連続と1973年以来で最長とのコメントを寄せた。4週平均は26万3250件で、1973年12月以来で最低となった前週の25万9500件(改定値)を2週連続で上回りつつ、2015年11月28日週以来の27万件割れは維持している。
3月19日週までの継続受給者数は217.3万人と、前週の218.0万人から減少した。2015年10月17日週以来の水準へ改善している。もっとも、2000年11月以来の低水準を記録した2015年10月24日週の214.6万件(修正値)を上回る水準を継続。被保険者に占める失業者の割合は6週連続で1.6%となり、1971年以来の水準をつけた。
米新規失業保険申請件数、労働市場の耐性を現す。
(作成:My Big Apple NY)
州別で増加が目立ったのはミズーリ州で585人増、次いでフロリダ州で342人増、イリノイ州で334人増、コロラド州で332人増と特に地域性で共通点は見当たらない。減少が顕著だった州は前週に増加が著しかったカリフォルニア州で2350人減となったほか、ペンシルベニア州も1407人減、ニューヨーク州も1041人減と大都市を抱える州が並んだ。カリフォルニア州では農業、木材、漁業、狩猟産業が減少を牽引し、ペンシルベニア州は宿泊・食品サービス、製造業、廃棄処理などが減少。NY州では建設のほか専門、化学、技術サービス、輸送・倉庫で減少した。他にワシントン州で695人減、ネブラスカ州も657人減となる。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「グッド・フライデーの3連休を挟んだ週に増加したとはいえ、トレンドは低水準を維持している」と指摘。継続受給者数が2015年10月以来の低水準を示したこともあり、「労働市場に対する当方の強気な見方は変わらない」と結んだ。
▽米3月シカゴPMI、ドル高一服を支えに分岐点を回復
米3月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は53.6と、市場予想の50.7を上回った。前月の47.6から分岐点を回復している。内訳をみると、ドル高一服という恩恵に支えられ主要項目が軒並み改善。新規受注は55.8と前月の52.1を超え、生産も52.0と前月の43.8から急伸した。雇用も51.0と、前月の45.0から力強く改善し、分岐点を回復。ただ在庫と価格はそれぞれ分岐点付近あるいは分岐点割れにとどまった。
――各連銀が発表した製造業景況指数がそろって改善を果たした通り、ドル高一服が奏功しシカゴPMIも好転しました。ISM製造業景況指数のエコノミスト平均も、ブルームバーグの試算で51.0と前月の49.5を上回り分岐点を回復する期待が高まります。
(カバー写真:Fort George G. Meade Public Affairs/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。