「長島町の地方創生の取組はとても面白い。しかし、井上さんがいなくなった後は、どうなるのか?」これまで幾度となく聞かれた質問だ。
その質問には、2つ答えるようにしている。
■1つは、続けるための「仕組みをつくる」こと。
例えば、ぶり奨学金(※)。
※保護者等が、長島町と提携した金融機関から借りた「ぶり奨学ローン」を返済した場合で、出身の生徒・学生が卒業後、長島町に戻ってきたときには、返済した元利相当額を町民等の有志が寄付をしたぶり奨学基金から補填。利息分については戻ってくるか否かに関わらず全額を補填。
奨学金制度は、これから生まれてくる子供たちが安心して利用できるよう少なくとも数十年間は持続することが求められる。そのため、行政だけで完結するのではなく、
○金融機関と提携する
○町民等の有志が基金に寄付をする
という続けるための仕組みを作っている。
獅子島の子落とし塾(※)において、
※都会の大学生が地元の中学生・高校生に対して、勉強のやり方や将来のキャリアデザインを伝える塾。
○大学生のインカレサークルをつくる
ことも続けるための一環だ。サークルにすることで、人材の安定的な確保・育成を狙う。
■もう1つは、町民とりわけ役場職員が続けるための「リーダーシップを持つ」こと。
長島町の地方創生の取組が面白いと思うのならば、町民とりわけ役場職員が自らの意志で続けるための工夫・努力を重ねるべきだろう。
日本には、一人の優秀なリーダーが全てを解決してくれるという「水戸黄門信仰」が根強くあるのかもしれない。
例えば、九州では、水戸黄門ならぬ「水戸岡鋭治」(九州新幹線・ななつ星のデザイナー)に頼めば、それだけで全てうまくいくと考えている人が少なくない。その結果、デザインされた駅や公共空間を自ら工夫して使いこなそうともせず、うまくいかなかったと批判する当事者もいる。
違う!
自分たちのまちをつくり、育てるのは自分たちなのだ。
だから、町の人、とりわけ役場職員含め責任ある立場の方から「井上さんがいなくなった後は、どうなるのか?」と質問されることには、一抹の不安と違和感を覚える。
「どうなるのか?」という他人事ではなく、「どうすればいいのか!」という当事者意識が必要だと思う。町(社会)のため自ら考え、行動するリーダーシップを育てる、それがこの1年の大きな課題だ。
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。