パナマ文書は富裕層だけに関係する出来事ではない

160412Amazon

アマゾンの書籍紹介ページには、レビューと呼ばれる読者の評価が掲載されています。写真は私の書籍のものですが、コメント読むとそのクオリティに、かなりのバラツキがあることがわかります。

報道によれば、アマゾンに投稿された書評によって社会的評価が低下したとして、著者がアマゾンに対して投稿者情報の開示を求めるという裁判があり、3月に東京地裁は投稿者の氏名や住所、メールアドレスの開示を命じるという判決を出しました。控訴しなかったため判決内容が確定したそうです。アマゾンでは日本法人のアマゾンジャパンがサイトを運営しており、今後国内で訴訟を起こすケースが増える可能性も出てきました。

これは匿名による無責任な発言や投稿に一定の節度を促す画期的な判決だと思いました。

SNSや掲示板、レビューサイトのような多くの個人の人たちが情報発信をしているサイトをチェックすることがありますが、匿名にすることによって質は低下します。

匿名記事で批判的な内容であっても、的を得た極めて有益なものもあります。自分の書籍に対して納得できることが書かれていれば、きちんと受け入れて今後の参考にするようにしています。しかし、書籍のレビューなのに、まったく関係の無い個人攻撃を書いている人などは、コメント自体が的外れで、他の真面目な読者に悪影響を与える存在と言えます。

アマゾンだけではなく、食べログのような食のレビューでも同様の傾向があります。アマゾンも食べログも、有害であると思われるコメントに対しては報告すれば、削除などの対策を取ってもらえます。しかし、それだけではミスリードする情報が消えることはありません。また似たようなコメントをしつこく掲載しようとする人もいるからです。

表現の自由という観点から匿名のメリットを主張する人もいますが、程度問題です。悪質なものに関しては、発信者の個人情報が開示されるということになれば、無責任な発言をする人は減ってくるはずです。情報統制につながるような規制は望ましいとは言えませんが、自分は責任は取らないで、塀の陰から隠れて石を投げるような、コソコソしたネット上でのマナーの悪い人たちに対しての一定の規制は必要だと思います。

建設的で合理的な批判は喜んで受けたいと思いますが、不正確な情報に基づく無責任な誹謗中傷に対しては、弁護士とも相談して、きちんとした対応を取るようにするつもりです。

タックスヘイブンでの節税活動の情報が漏えいした「パナマ文書」によって、匿名で資産を運用していた世界の富裕層たちが慌てていますが、富裕層でなくてもこれと似た事態が将来起こる可能性が出てきたということです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。