養生とは?

仕事でも人生でも有意義に過ごすためには、健康であることが大前提です。心身が健康であって初めて、充実した仕事が出来ます。そういう意識を常に持つことは、良い仕事をするための絶対条件と言って良いでしょう。取り分けリーダーは、気力・体力・知力が充実していなければなりません。そうでないと直観力も働かず、的確な判断も下せません。

直観を発揮するに、気力・体力・知力が常に充実していなくてはなりません。その一番の根本になるは、健全な精神と健康な体です。之がグラついていたならば、直観は働きません。体が不調であれば、精神も不調になります。その逆も然りです。正に心と体は一つのものです。何時も健全な状態に保つことが非常に大切なのです。

東洋には「心身不二(しんしんふに)」、「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方があります。それ即ち、心と体を一体として見る考え方のことであります。心の病に対して、西洋医学であれば「この睡眠導入剤飲んで睡眠時間を増やしなさい」というような対処療法に尽きますが、東洋医学の世界では心と体を一緒に治すという考え方をするわけです。

江戸中期に綴られた元祖“健康本”とも言われる貝原益軒の『養生訓』を見てみても、例えば「心を平らかに、まめに手足を働かすべし」「心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず」と教えているように、当該書の神髄は正に此の心身不二、心身一如という考え方にあるのです。

嘗て当ブログでは「養生は ただ働くに しくはなし 流るる水の くさらぬを見よ」という道歌を御紹介したこともありますが、此の養生ということで益軒は「四要(しよう)」を挙げています。それは①「怒りを少なくする」、②「考え込む時間を少なくする」、③「言葉を少なくする」、④「嗜欲(しよく<欲するままにしたいと思う心>)を少なくする」ということです。

私として①「怒りを少なくする」③「言葉を少なくする」④「嗜欲を少なくする」は当たり前の話ですが、②「考え込む時間を少なくする」は少しクエスチョンマークが付くものです。例えば一昔前、脳細胞は増えて行かないと考えられていました。しかし実際は、脳細胞だってどんどん新陳代謝もして行くのです。

更には、考え込まねば或いは考えるということ自体なければ、人間は呆けて行ってしまうでしょう。貝原益軒の言は何も呆けなさいと推奨しているわけでなく(笑)、呆けても良いから生きておけといった話ではありません。

益軒の生涯を見るに彼自身呆けるどころか、「平均寿命50歳の時代に84歳で『養生訓』を書き、翌年亡くなるまで、虫歯が1本もなく、夫婦で旅行をし、生涯100冊もの本を書いたという」ものなのです。

では何ゆえ益軒が「考え込む時間を少なくする」というふうに述べたかと推測しますと、我々もそうですが考え込んだらば頭が興奮して寝られなくなることがあるからでしょう。従って唯一は、睡眠時間が減ることを危惧した言葉ではないかと思います。ですから寝る前には余り考え込むようなことはしないことです。

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