混迷するスペイン政界。あすの日本を予感
比例代表制と極左台頭で政府不在となったスペイン政局は明日の日本を予感させる。スペインでは昨年12月に総選挙が行われたが、小党分裂でどこも組閣できず、国王も匙を投げて6月の再選挙を決断した。
比例代表制なので、中道右派の国民党、中道左派の社会労働党、極左のポデモス、極右のシウダノスが四つどもえで、さらに、独立志向の地域政党などが入り乱れて混乱は深まる。
第一党は現在の与党である国民党だが、緊縮政策への協力を嫌って連立相手がなく、第二党の社会労働党がシウダノスとは合意に達したが議席が足りず、ポデモスはカタロニア独立住民投票など国家分裂に繋がる無理難題をもちかけている。
しかも、ポデモスが社会労働党に選挙協力をもちかけ、社会労働党も誘惑に勝てずポデモス批判も中途半端。再選挙でも同じような結果になりそうで、政治家抜きの実務内閣を国王が指名するしかないかもしれない。
日本の民進党が共産党と組むとこうなる
スペインでは共産党が勢力を失ったあと、ベネズエラのチャベス前大統領の資金援助で設立されたポデモスが台頭し二大政党が衰退。反対派はポデモスを「民主主義を唱えながら政権についたらチャベスのように強権政治でそれを破壊するつもり」と批判する。
軽やかなのりで爽やかさを前面に出すポデモスをSEALDsに似ていると日本で誉めるのは、共産党との共闘を民進党に要求するグループ。共産党が比例代表制を執拗に要求していることもあわせ、共産党が民主主義を機能不全にするシロアリでることを知るべきだ。いまこそ、民進党の良心派に立ち上がって欲しい。
参考・スペイン政局近況
財政危機にあったスペインでは国民党のラホイ首相が自由化と緊縮政策で経済立て直しに成功したが、少し経済が回復したら、野党は緊縮政策の放棄を要求し、国民党は総選挙で過半数を失った。しかし、新政権が成立しないので、引き続き暫定政権を担う。社会労働党のサンチェス書記長は党内の批判もあるが、極左と極右の両方と組んでも政権につきたい様子。
スペインでは首相候補は国王が指名し議会で信任投票という仕組み。カタロニアなどの分離独立派が少数勢力なのに、キャスティングボードを握ると、国家分裂のリスクがある。ポデモスは分離独立に賛成せず住民投票だけを要求する巧妙な国家破壊戦術を採る。たとえば、日本でも中国の意を受けた勢力が沖縄の独立派を同じようなかたちで援助する可能性も否定できない。
チャベスが親ヨーロッパでベネズエラの独裁政権に批判的なスペインの既成政党を破壊するために極左の大学教授に資金援助してポデモスを結成させたことが最近になって発覚したが、ポデモスは選挙での支持があるのだから資金援助されたからといって攻撃するのは問題のすり替えと応酬した。
一方、ポデモスはイケメンや可愛い女性などを前面に出しイメージ戦略で成功してきた。
編集部より;この原稿は八幡和郎氏のFacebook投稿にご本人が加筆、アゴラに寄稿いただました。心より御礼申し上げます。