不動産投資の金融商品では得られないメリット

国内金利の低下に伴って、金融資産から不動産に資産をシフトさせる投資家が増えてきました。パーソナル・コンサルティングの相談も、以前は金融資産のアセットアロケーションに関するものが多かったのですが、最近はほとんどが国内と海外の不動産投資に関するものになっています。

相対的に高いインカム収入が得られるからという理由で不動産投資を始める人がいますが、不動産と金融資産の決定的な違いは「自分で料理ができるか」です。

金融資産の場合、収益を上げる方法は原則として常に受け身です。例えば投資信託の売買は、基準価額という決められた価格で買うか売るかを決めるだけです。自ら基準価額を変えることはできません。また、価格交渉をして、割引で買うこともできません。

不動産はこのような金融資産とは対照的です。

購入は交渉から始まります。提示されている売却希望価格より低い価格を買い手が指定して、条件を摺合せながら価格を寄せていきます。決済のタイミングや引き渡し条件によって価格は変わってきます。

さらに、購入してからも保有しているだけの受け身ではなく、能動的に価値を高めることができます。

例えば、リノベーションをかけて物件価値を上げて、高い賃料で貸し出せるようにする。あるいは、オフィスとして使われていた物件をユニットバスなどを設置して居住用に用途を変える。区分所有のワンルームマンションでも、オーナーが内装にコストをかけて、賃貸利回りをアップさせているという話も聞きます。金融書品とは異なり、自分で手を入れて所有物を変えていくことができるのです。

また、運用方法も自分で能動的に変更することができます。一棟ものの住宅をシェアハウスに転用して収益性を高めたり、日本ではまだ認められていませんがAirBnB(エア・ビー・アンド・ビー)のような「民泊」物件にして貸し出す。

つまり、金融商品の場合は運用している間は保有しているだけですが、不動産の場合は材料を料理するセンスによって収益が大きく変わってくるのです。

だから不動産の「料理」が上手な人は割安な「材料」をバリューアップさせることから収益アップが見込める。これは金融商品では得られないメリットです。

たまごかけご飯よりも、ふわふわの親子丼(写真)の方が高く売れるのと何だか似ています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。