キャナル・ストリートと言えば、トライベッカとソーホーの境界線。ビジネス街のミッドタウンとは一線を画し、ビジュアルの勝負師が集います。ファッショニスタという意味ではありませんよ。この周囲にはドラマ「マッドマン(Mad Man)」でお馴染み、広告代理店のオフィスが連なるのです。時代を経て、マディソン・アベニューから続々と南下していったんですよね。
そのキャナル・ストリートで、まさにマッドな「戦争」が勃発しています。
こちらをご覧下さい。
(出所:Twitter)
お分かりになりましたか?
ビルの窓に貼られた色とりどりの紙は、ポストイットなんです。
それは、製薬会社向け広告代理店バイオルミナがオフィスを構える”75バリック・ストリート”から始まりました。ある日「Hi 」と書かれたポストイットを窓に貼り付けると、キャナル・ストリートを挟んだ向かい側のビル ”200 ハドソン・ストリート”で働く広告代理店ハバス・ワールドワイドの従業員が「Sup(What’s upの省略形)」と応じたのです。こうして、ポストイット戦争の火蓋を切って落とされました。ハバス・ワールドワイドのトイガー・バザルカヤ最高クリエイティブ責任者は、エスカレートする事態を重く見ることなく「能力を発揮できる場所ができて楽しそうだ」と余裕綽々です。
ワイングラスと時計を、交互ににらめっこしそうです。
(出所:Twitter)
仕事で活かしきれない才能がランチタイムや終業時、あるいは仕事の合間に花開く。コスト削減にいそしむ企業では、考えられませんね。この余裕と遊び心、東京にも分けて頂きたい・・。
広告代理店のプライドを賭けた仁義なき戦い、どちらに軍配が上がるのか?いずれにしても、双方のビルのテナントは名前を売ることに成功し、両成敗といったところ。強いて言うなら、戦いの勝者はどちらのビルでもなく、ポストイットを製造する3Mでしょうね。
ポストイットの使い途は、他にもあります。
(出所:Youtube)
ブラジルでは、障害者向けの駐車スペースに停めた健常者ドライバーの車にポストイットで制裁をを加えました!貼り付けられた運転手は、黙々と剥がしていかないと乗車できないという仕組み。周囲に出来上がった人混みのなかで写真を撮影されるなど、見せしめの刑といっても過言ではありません。なかなか効果的なアイデアだったりして?
(カバー写真:Ian Collins/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年5月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。