ZAITENが読売批判特集号で壮大な写真取り違え

新田 哲史

ZAITENコラージュ

どうも新田です。間違いはあるものです。きのうの夕方、「釣り野伏せ」の記事を書いた矢先で、釣られたというか、自爆した感があるんですが、企業広報泣かせのZAITENが、「読売新聞『ナベツネ90歳』逸した花道」と題して、我が古巣に果敢に切り込んだものの、日本が誇る最強のコラージュクリエイター、マッド・アマノ画伯の連載において、読売新聞の白石興二郎・代表取締役&編集主幹の顔写真を載せたつもりが、老川祥一・グループ本社最高顧問&巨人軍オーナーのそれと取り違えてしまったようです。この偉大なる主筆様像の左腕にぶらさがっている方です。

学生時代に就活した折、最終面接官が老川さんだった私としてはページを開けた瞬間、「これは、やってしまいましたな」と気づいたわけですが、いやはや、ZAITEN編集部は、どうして確認をしきれなかったのだろうか、巨人軍オーナーを取り違えるくらい、編集部は野球よりサッカー好きなのか、あれこれと想像を巡らせました。

念のため白石さんはこちらの方です。やっぱり違うでしょ。

白石

いずれにせよ、22ページに渡る壮大なメイン特集で我が古巣をdisった挙句、最後のオチで写真取り違えという奥義を見せつけられて、たぶん大手町方面の特に広報部や法務部あたりで、溜飲を下げて微苦笑がクスクスと漏れ聞こえてきそうな顛末になっております。

いや、まあ、「社会の公器」を自認する新聞社、それも、部数が900万を割り込んだとはいえ、それでもなお世界最大の部数を誇る最大手が週刊誌のターゲットにされて、あれやこれやと論評されるのは、当然のことだろうと思います。ましてや、先ごろは巨人軍の野球賭博問題があり、このほど主筆が会長職を退任されることが明らかになって、「ポスト・ナベツネ」の観点で新聞業界から政界、野球界もろもろ各方面への影響がどうなるのか関心が高いわけですから、他の新聞が書けないことも含めて、週刊誌のご健闘されることは民主主義の観点から、ジャーナリズムの活性化はよいことなので、別にいいんじゃないでしょうか。

一方で、肝心の特集に関してですが、ドロップアウトした身とはいえ、10年余りお世話になった古巣のことなので、やはり誌面は気になりました。でも、ちょっと違和感もありました。

新聞社として権力との距離の取り方的なところを批判されるのは、全然構わないですし、経済誌らしく旧東電銀座支店跡地などの不動産事業のレポートを書くあたりは玄人好みに応えているんですが、主筆の半生を追いかけたドキュメンタリーで知られる元共同通信記者の魚住昭さんとか、読売を干されて退社した元記者の山口正紀さんとかをインタビューに引っ張りだしてきたはいいものの、憲法改正や原発再稼働、従軍慰安婦など左右真っ二つのお題について、いかにも左がかった文脈から批判を展開しており、新聞社批判と政治的主張を微妙にミックスした誌面の読後感は、得てしてビミョ〜でした。経営や記者のモラル問題など、新聞社のあり方を問うのは異論ございませんが、政治的お題は各社それぞれの考え方があり、大手5紙は保守からリベラルまで多様化した方がむしろ健全なわけで、政治的価値観にまで立ち入ったような批判の仕方はどうなんでしょうかね。

たとえば魚住さんは、慰安婦報道を巡る読売の論調について、このように述べているわけですが。

例えば慰安婦報道の問題をみても、「強制連行があったかどうか」というのが問題の本質だとして、「それを裏付ける物証がない以上、強制性を認めた河野談話は見直す必要がある」という論調で、わざと問題の定義を狭くしています。慰安婦問題の本質は強制連行があったかどうかだけではありません。

お、おう。。。いやいや、強制連行の有無は、日本が国際的に大きく間違ったイメージを持たれてしまった、非常に重要なポイントのはずなんですがね。「わざと問題の定義を狭くしている」とのご主張ですが、誌面に限りがあるためか、そう仰る根拠も書いていないので、読売サイドからすると「一方的にdisられて終わりかよ」と思われてしまったのではないでしょうか。

ちなみに誌面には元記者3人(30代、40代2人)の座談会も掲載されておりまして、うっかりすると、「お前じゃないのか」という疑いの眼差しを元同僚、ならびに読者からも持たれてしまいそうですが、座談会の記事でお三方が述べている自己紹介にもありますように、現在も他紙で記者をお勤めとのことで、残念ながら私ではございません。それこそ私が匿名で出たところで「退社後、現在はネットメディアの編集長をしている40代のDさん」なんて言った瞬間、5大紙随一のアナログ文化で知られる読売を辞めてネットで人生棒に振りかけた人材は、たった一人しかおらんので、もろバレです。まあ、最近はテレビも含めて、あちこち顔も出しているんで、仮にこの手の取材を受けるなら、今更コソコソ隠れる意味もないんですが。

とりあえず、不肖の中退者としては、取り上げたヒトやコトに関して、写真の取り違えのような間違えをすると恥ずかしいという基本を改めて見つめ直す機会になりました。とりあえず、ZAITENさん、我が古巣ともども、益々のご発展をお祈りしております。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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