※写真左は著者、右はインタビューに協力いただいた石川氏。
皆さまは「サラリーマン」という言葉を聞いて何を連想するでしょうか。あるメディアの調査では、性別や年齢層に関わらず「いつも疲れている」「表情が暗く足取りも重い」が、1位、2位を占める結果になっていました。
しかし「疲れていては楽しく充実した日々は過ごせません」と語るのは、石川和男(以下、石川)さん。いま、建設会社の総務経理担当部長、大原簿記専門学校講師、税理士、プレゼン養成学校主宰、セミナー講師と、5つの仕事を掛け持ちしています。
これだけ仕事を抱えていると、かなりの多忙かと思いますが、実は思ったほど多忙ではなく仕事もプライベートも充実しているとのこと。今回は、「上司の自慢話をどうするべきか!」というテーマにて話を伺います。
●上司が部下に武勇伝を伝えてはいけない理由
リーダーになる人は過去に輝く実績をあげ結果を残しています。そのため、多くの自慢話や武勇伝をもっています。それを言うか言わないかの違いだけでしょう。あなたの上司がこのような武勇伝をもっていたらガマンして耳を傾けることが得策です。上司の自慢話に相槌を打ちながらキラキラ輝く瞳で聞いてあげなくてはいけません。
上司が語れる武勇伝です。毎日の武勇伝であれば聞くほうも大変です。キラキラ輝く瞳では聞くことができないかも知れません。でも、月に1回や2回のレベルなら聞かなくてはいけません。耐えて聞くしかありません。それを耐えることで上司から気に入られて、上に引き上げられて、人間関係が潤滑になる可能性が高いからです。
石川は武勇伝を語る上司について以下に述べています。「あなた自身は部下に自慢話、武勇伝を語るのは絶対にやめてください。その理由は部下に嫌われないためではなく、情報から取り残されないためです。リーダーになると、チームのなかで自分が一番仕事ができると勘違いをしてしまいます。それが続くと部下の話に耳を傾けなくなります。」
――これは非常に分かりやすい表現です。私(筆者)のケースをお話します。あるコンサルティング会社で責任者に任命されたとき私は有頂天でした。成果に関しては誰よりも高いという自負がありました。しかしこれは多くの人に唯我独尊とも映りました。
いつも口から出てくる言葉は「このオレ!」。ある日、部下から、「尾藤部長、いつも口にしている『このオレ!』ってどんなオレですか?教えてください!」と言われたときに唖然としました。私としては仕事を教えるつもりで「このオレの事例」を伝えたつもりだったのですが、部下にはそのようには映らなかったのです。
石川も私と同じような経験をしていました。当時の出来事を次のように語っています。「今でこそ意味のないプライドは捨て、分からないところは部下に聞いています。しかし当時は、私が部下に教えてもらうことなど上司の恥とさえ思っていました。」
そして、有能なリーダーの特徴について以下に述べています。「仕事が速く有能なリーダーは各々が強みを持っていることを知っています。部下に教えを請うことにも抵抗がありません。全ての人から学べることがあると考えるのです。さらにリーダーとは色々なことに精通していて知識も豊富でなければいけないと考えて、電車やバスのなかで勉強に励みました。いまも通勤時間を勉強に充てています。その結果、『車酔い』をすることが増えました。仕事の速いリーダーには『車酔い』を経験した人が多いはずです。」
●本日のまとめ
リーダーになってもそれは役割にしか過ぎません。変化のスピードが激しい時代において成功は過去のものです。過去の成功はすぐに通用しなくなってしまう危険性もあります。だからこそ、リーダーは補佐役に徹して前に出過ぎないことが大切なのかも知れません。
最後に、石川のメッセージを引用し結びとします。「自慢話に酔う暇があったら、部下からひとつでも多く仕事のノウハウを聞き出して、仕事のスピードアップに役立ててください。仕事が速いリーダーは、知らないことを誰からでも謙虚に学びます。」
石川の新刊
『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』 (明日香出版)
尾藤克之
コラムニスト