不動産業界の価格破壊は起こるのか

内藤 忍

160617taku2本日夕方配信の「資産デザイン研究所メール」で、ご紹介予定の西麻布のお寿司屋さん(写真はシンコ)。フルサービスで最高レベルの味でしたが、お値段も割安とは言え、それなりにします。一方で、その近くには5分の1くらいの値段で食べられるお店もあります。魚の鮮度に大きな違いはありませんが、サービスのレベルは、値段相応になります。

どちらが良い悪いということはありません。「価値>価格」が充たされている中で、高級店から大衆店まで選択の幅があることが重要です。

金融機関でも、証券会社なら手数料の高いフルサービスの対面証券から、低コストで自分で画面で取引を進めていくネット証券まで選択肢があります。ネットが使えない、高くても相談しながら取引したい人は高い手数料を払うのは自由です。

では、不動産業界はどうでしょうか。固定化している不動産仲介手数料を価格破壊しようと挑戦している会社がありますが、手数料が下がっても物件情報自体の質が低下してしまっては意味がありません。高品質な物件を調達する仕組みを持ちながら、それを低価格で販売するような試みがあればと思っていました。

6月26日の4か国不動産投資セミナーに初登場する「ワンルームダイレクト」は、中古ワンルームマンション販売会社に物件を納めている卸問屋のような会社が、直接個人投資家に販売する新しい試みです。

魚に例えれば、デパートやスーパーで買うのではなく、築地に直接出向いて、卸値で購入するようなイメージです。価格に魅力がありますが、自分でやらなければいけないこともあります。

営業マンが自宅やオフィスまで来て説明してくれたり、ローンの手続を手伝ってくれたりと、全て面倒を見てくれるようなフルサービスはありません。その分販売価格を引き下げ、賃貸利回りの高い物件を紹介できるようになります。ただし、物件自体のクオリティは、大手の販売会社と比べてもまったく遜色なく、安かろう悪かろうではありません。

果たしてこのような販売方法が個人投資家の方に受け入れられるのか。参加される方が、当日紹介する予定の物件の価格と賃貸利回りにどんな反応を示すか。興味を持って観察したいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。