世界最高峰レストラン50選、イタリアの名店が王座に

美食家の皆様、長らくお待たせ致しました。ロンドンに拠点を置くレストラン・マガジンが発表した”世界最高峰レストラン50選”をお届けします。イタリアの炭酸水ブランド”サンペルグリーノ”と”アクア・パンナ”などが協賛した今年のランキング、2016年版は王座が入れ替わりました。

日本勢はというと、2015年にトップ10入りを果たしたフレンチの名店”NARISAWA”が2年連続で堂々8位の座を堅持しています。2015年に29位だった”日本料理 龍吟”は、残念ながら31位にランクダウンしていました。注目は、ペルーの”MAIDO”でしょう。和食にペルー料理を融合させた斬新な技は、日系ペルー人のマサフミ・ツムラ氏をして”Nikkei”という言葉をグルメ界に定着させつつあります。ランキングも、2015年の44位から驚異のジャンプアップを果たしました。

トップ50圏外の77位とはいえ、神保町の隠れ家”傳(でん)”がレストラン・マガジンの”要チェック賞(One To Watch Award)”を飾った点も見逃せません。皇居ランニングの後で横道を歩いて見つけた折には、”傳”とも知らず汗臭い身体で立ち寄り大変場違いな思いをしたものです。海外から日本のグルメを唸らせる懐石料理の名店なので予約困難ですが、是非一度は訪れてみたいところ。

”世界の最高峰レストラン50選”のうち、トップ10で”NARISAWA”と共に欧州圏外からランクインしたのは2015年に4位へ急浮上したペルーの”Central”のみでした。他は欧州を中心としたレストランが並び2015年からはブラジル、タイの名店が圏外へ滑り落ちています。BREXITを控え、英国のレストランもトップ10から脱落しました。

ニューフェイスは2015年の11位から6位にランクアップしたフランスの”Mirazur”。マウロ・コラグレコ氏が提供するメニューは、”太陽の食事”と誉れが高い。コートダジュールの陽を浴びて育った野菜を始め新鮮な食材をふんだんに活かし、食べる人々の心を弾ませてくれます。

シェフのコラグレコ氏にかかれば、プレゼンテーションにもリゾート感をプラス。


(出所:Restaurant Magazine)

2015年に15位だったオーストリアの”Steirereck”は、今回9位へ浮上しました。オーストリアで”ウルトラ・モダン料理”と言えば、Heinz Reitbauer氏が代表格。同国でグルメ新時代を切り開いた風雲児でもあります。

前年の13位から10位へ食い込んだのは、スペインの”Asador Etxebarri”。都会の喧噪から離れ田園風景を眼前に楽しみながら頂くVictor Arguinzoniz氏の品々は、牧歌的ながら思いがけなく舌を刺激してくれる。自然の風味に身を任せる、そんな貴重な時間を演出してくれること間違いなしです。

さて、気になる1位は・・・イタリアの”Osteria Francescana”。2015年に2位とあと一歩に迫ってから、悲願の1位に輝きました。同店は2013年に初めて3位とベスト3にランクインしてから2014年に3位、2015年に2位とずっと王座を伺っていたので、シェフのMassimo Bottura氏の喜びもひとしおといったところでしょう。もちろん”欧州の最高峰レストラン2016”でも首位を奪い、2016年はBottura氏の年になったといっても過言ではありません。イタリア料理の伝統を重んじながら挑戦的創造を続けてきたこちらでは、視覚、嗅覚、味覚をはじめ五感をフル動員したくなるはずです。

思わず笑みがこぼれる逸品。


(出所:Restaurant Magazine)

以下はトップ20になります。()内は、2015年の順位。

1. Osteria Francescana, Italy(2位)
2. El Celler de Can Roca, Spain (1位)
3. Eleven Madison Park, USA (5位)
4. Central, Peru (4位)
5. Noma, Denmark(3位)
6. Mirazur, France (11位)
7. Mugaritz, Spain (6位)
8. Narisawa, Japan(8位)
9. Steirereck, Austria(15位)
10. Asador Etxebarri, Spain(13位)

11. D.O.M, Brazil(9位)
12. Quintonil, Mexico(25位)
13. Maido,  Peru (44位)
14. The Ledbury, UK(2o位)
15. Alinea, USA(26位)
16. Azurmendi, Spain(19位)
17. Piazza Duomo, Italy (27位)
18. White Rabbit, Russia (23位)
19. Arpège, France(12位)
20. Amber, Hong Kong(38位)

国別で20位内でのランクイン数トップは2015年に続きスペインで、4店も登場していました。2位はイタリア、フランス、米国、ペルーが肩を並べ2店。イタリアは2015年の1店から、世界三大美食として名誉挽回した格好です。反対に、2015年に2位だった英国は2店から1店へ減少しました。米国は2店を維持しつつ、2003〜04年に1位に鎮座した”The French Laundry”は以前にお伝えしたようにトップ50圏外へ陥落していたことが記憶に新しい。競争著しいグルメの世界で、来年はどんな顔ぶれが現れるのでしょうか?今年の詳細のリストは、こちらをご覧下さい。

(カバー写真:mrb404


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。